2020年10月31日土曜日

心理アナリストという選択肢

以前、プロフェッショナルコーチについてちょこっと書いたと思うのですが、メンターやプロフェッショナルコーチとは別に心理アナリストを雇って定期的に話しています。心理アナリストって何なんですか、っていうと難しいのですが、下記のような役割分担で考えています。

  1. プロフェッショナルコーチ: 社内での自分の動き方の戦略を議論し、アドバイスをもらう
  2. 心理アナリスト:私生活や人生における課題や考えている事を議論する
  3. メンター:公私共に色々な相談に乗ってもらう
1, 2はプロのサービスなので有料でお金を払って定期的に払っていて、3はまぁ課題がある時に相談するみたいな感じです。

元々母校であるIMDというビジネススクールにはPDE (Personal-Development Elective) という授業があり、そこでは1,000分間心理アナリスト(Psycoanalyst)とのセッションを一年間通して行うという内容で授業を行っていました。一年間で新しい勉強を行い、意図的にある程度ストレスがかかるようなカリキュラムで、新しい環境で、就職活動の不安も多くの人はあるという状態なので、そういった環境の中自分を見つめ直す事でleadershipを高めるという目的の授業です。その授業は人によって使い方は様々ですが、私の場合は自己理解が深まり、様々な状況に対して対応するレベルが格段に上がったと思います。

なぜ心理アナリストが必要か
このBlogの文脈でいくと以下の2つになると思います。
  • 自己理解が深まりleadershipがより発展する
  • 私生活の面をより良くマネジできるようになり、仕事への影響が減る
前者はプラスの面なのですが、自己理解が深まると自分がどういった環境でストレスを感じやすいのか、ストレスを感じた時どんな弱みが出てくるのかという点が分かって来ると思います。そういった事を意識的に管理する事でより良い関係性を築けると思います。また、私生活の面でのストレスは仕事にも影響を与えます。そういった内容を第三者に相談する事で、影響を最小化できると考えています。

心理アナリストと信頼できる友人の違い
上記の事はもちろん信頼できる友人でもある程度代替できると思います。そういった人との違いは以下かなと思っています。
  • 相手はプロでかつ仕事なので心理的負担を気にしなくて良い
  • プロなので、どんな事を話しても外部に漏れる心配がない
  • 仕事として自分を理解してくれている
  • 適切な質問を投げかけてくれる
多くの場合、答えを求めるわけではなく自分の中での答えを探す手伝いをしてくれる人という認識なのですが、上記の条件を満たすような友人がいる人はそこまで多くないと思います。そういった状態を解決してくれる良いパターンかなと。

どうやって探すの?
こういった仕事はまだ市場としてちゃんと出来上がっているわけではないので、一つの手はIMDに進学してもらうという事ですが、冗談は置いておいて下記のような人が良いかもしれないですね。
  • 心理学を学んだプロフェッショナルコーチ
  • 臨床心理士等の資格のあるカウンセラーやコーチ
  • ビジネス等の経験がある心理カウンセラー

と、色々書いてみましたが自分の心を自分でモニターしてより良い生活を送るために適切に相談できる人がいる事は価値があって、それがプロフェッショナルサービスでも良いんじゃないかなというお話でした。

2020年10月24日土曜日

組織の中で成果をどう効果的に示していくのか

 

少し前に、システマティックな社内政治というポストを書いたのですが、それに関連して明確に成果が見えにくい職種やプロジェクトをどのように悪い印象を与えず伝えていくかについて書いてみようと思います。

P&L責任を持って数字を達成していくとか、営業で売上を持ってくるとかそういう仕事の人は明確に仕事が結果として出てくるので分かりやすいと思うのですが、そうじゃない職種やプロジェクトも非常に大事で、そういった仕事は多くあります。自分の場合も、東南アジア全体のカスタマーサポート、オペレーション、テクニカルサポートと言われるようなバックオフィス全体の責任も持っているためこういった仕事は結果が明確に分かりにくい事があり、十分理解できます。

そんな中で、じゃあどういう事をしたら良いんだろうっていう事をいくつかに分けて書いて行きます。概要としては
・キーパーソン(多くの場合はボス)と目標に対するギャップとどう埋めるかについて合意
・必要なプロジェクトを見つけ、KPIと共にカウンターパートと合意する
・複数のプロジェクトを作ってポートフォリオ管理する
・ひたすら実行
というような流れで考えています。一個ずつ書いていきます。

キーパーソン(多くの場合はボス)と目標に対するギャップとどう埋めるかについて合意
これ実は忙殺されててできてない人も多いんじゃないかなと思いますが、多分多くの会社が、年次の目標設定をしていると思います。その中で一歩踏み込んで、キャリアの次のステップにいくためには何が足りないか、どういった成果を出せば認められるのかについて合意しておくと良いと思います。残念ながら多くの場合は、成果を出したところで必ずプロモーションできるという訳ではないと思います。でも、少なくともボスが推薦してくれるか、もしくは、なぜ推薦してくれないのか議論を重ねる機会を作れると思います。その際、可能なら定量化しておくと良いと思います。

必要なプロジェクトを見つけ、KPIと共にカウンターパートと合意する
次にプロジェクトを見つけます。人によっては勝手にアサインされる場合があるかと思いますが、可能なら自分自身で社内の比較的影響力の強い人の役に立ち、ボスとの合意の条件を満たすようなプロジェクトを探します。また、その際どういったKPIを達成したらちゃんとサポートしてくれるのかについても合意する必要があります。定量化が難しいと言いつつ、オペレーションでもテクニカルサポートでも何でも定量化する事は可能です。満足度でも24時間以内のレスポンスの割合でも何でも良いのですが、必ず定量化できると思うので、少し考えてみて下さい。また良いリーダーは多くの場合KPIを設定している事が多いです。仮に設定してなかったとしても、むしろ設定してあげる事が付加価値になると思います。

複数のプロジェクトを作ってポートフォリオ管理する
次に上記のプロジェクトを複数持って、ポートフォリオのように管理する事を勧めます。例えば、
・うまくいったらホームランなハイリスクハイリターンなプロジェクト
・ちょっと驚かれるくらいのヒットなプロジェクト
・ここを満たしておけば最悪クビにはならないだろうというプロジェクト
というような形で整理しておくのは一つの方法で、またカウンターパートも分けておく事が良いと思います。プロジェクトを合意してたけど、辞めちゃった。みたいな事は十分起こりうる事だと思うので。

と、色々書いてみたのですが、これって結構な労力なのでできたらコーチだったり、細かいところまで相談できる仲間がいたら一番良いかもしれないですね。自分はこの一年ちょっとのGM生活は、ここまで厳密にステップに則ってやってきたというより、ひとまず生き抜くために必死だったというのが実情ですが、少し余裕が出てきた今はこのような考え方で進めています。

2020年10月18日日曜日

ハイスペックの落とし穴と目標を仮でも良いから決めてしまうという話


 


最近、人生をプロトタイプするというすゝめというnoteの記事を読んで、あー、良い事書いてあるなぁと思ったので、2つの話を書いてみようと思います。


ハイスペックの落とし穴

最近Twitterでちょこちょこ書いてる内容なんですが、以前Blogの記事でプロフェッショナルになるのかマネジメントになるのかという記事を書きました。ここで言いたかった事は、まぁどっちかに決めた方が良いよねっていう話です。色々な相談を受けたり観察したりした結果、キャリアの最初の5−10年くらいでいわゆる一流企業に勤めている結果、落とし穴に落ちて抜け出せなくなってるなぁと思ったので、ここに書いてみようかと思います。

自分の観察している落とし穴というのは、

  • そこまで明確に目標が決まっている訳ではなく
  • 優秀で新卒から給与が高いため、給与が高く
  • 大きなリスクは取らず転職先も給与が高く、世間的に良さそうな会社で
  • 10年とか経ってみると、プロフェッショナルとして領域も絞ってないから専門知識もなく、マネジメントとしての経験も浅いためマネジメントにもなれない

というものかなと思っています。事業会社等の経営企画や戦略部門など少し結果が分かりにくいポジションで、でも優秀だから重宝されて、そのうちにそこから抜け出せなくなっちゃうというイメージです。


目標を仮でも良いから決めてしまおうよって話

上記を踏まえた上で、最初に紹介したBlogの内容になるんですが、人生の目標とかって大上段に構えると決めにくいと思うので、とりあえず仮にでも良いから五年後にどうなってたいかみたいな目標を決めたら良いと思うんですね。ざっくり言うと

  • できるだけ具体的に五年後にどこでどういう事をしていたいか決めてみる
  • そのために必要な行動を始める
  • 目標を色々な人に伝えて味方を作る
  • 違う目標ができたなと思ったら、変える
っていうのが良いと思ってます。どれくらい具体的にするのが良いかというと
  • プロフェッショナルかマネジメントか
  • 業界で区切るのか?その場合どの業界か
  • どれくらいのチームを持ってどういう仕事をしていたいか
  • どこの都市に住みたいか
等をざっくり考えると良いのかなーと思ってます。ただ、今書いたこの4つは本当適当なので、目標の設定の仕方っていう別の記事を後で書くかもしれないです。可能なら誰かと比べない目標の方が良い気がしますね。

もう2020年も気付いたら最終四半期になってきていて、節目に向けて目標をクリっと決めるのに良い時期なんじゃないかなという事でこういう記事を書いてみました。


2020年10月10日土曜日

Feedbackの受け取り方 その2 実際にやってみました

 



先日Feedbackの受け取り方という内容の記事を書いたのですが、そこの記事の中で書いたように新しく担当する事になったマレーシアのチームとOnboarding meetingを開いたので、それについて書いておこうと思います。


元々の背景

元々、東南アジア+韓国のバックオフィスは責任者だったのである程度の関わりはあり、なんとなくKeniという人がいて、どういう人かは認識してもらっている状態です。ただ、たまにミーティング等で出てくるだけなので、そこまでどういう人かは認識していない。そんなタイミングで自分がマレーシアのGMも兼任する事になり、自己紹介ミーティングをしたというような背景です。


Onboarding meeting

本来ならマレーシアなんてすごく近いのでぱぱっと出張してミーティングというのが理想なのですが、中々COVID-19後はそうもいかないので事前に伝えてカメラオンでミーティングをセットしました。初めに人事のDirectorになぜこういったオンボーディングが必要なのか、leadershipとは何かといったような、チームから質問を出やすくするための下準備をします。それから、一旦カメラをオフにして、匿名で書けるアンケートを送付し、30分程度で質問やコメントを送ってもらうという形式を取りました。


セッションの目的

今回の意図は、普通のプロセスを取っていたとしたら深く知る事に時間がかかるところを短くする、誤解されそうな行動の意図を事前に説明する、そもそも人となりを知ってもらえるという事を意図として設計して実施しました。また、同時に前回の記事でも書きましたが、匿名でコメントできるという事で、心理的安全性を担保しています。


もらったコメント

全て公開するわけじゃないですが、

How would you want him to approach differently/ change?

の質問のところに、Listening, understanding, be more considerate, caring 等のコメントが来ていたのでこれはまぁ本当気をつけないといけないなと思います。言い訳としては、Task focusな方向性があるので、そういったところを気をつけないといけないんだろうなと思っています。


まとめ

Onboardingと一言で言っても色々な内容がある中で今回はFeedbackに重きを置いた内容を書いてみました。このプロセス自体も結構要改善だと思ってるんですが、少しずつ変えていけたら良いなと思います。

2020年10月3日土曜日

長期的にチームメンバーに働いてもらうために。


 

最近、チームを引っ張って大変な時期を乗り越えてきたメンバーが辞表を出すという事態がありました。ある程度の人数を抱えていたら、そういう事態は起こるのは仕方ないと言えば仕方ないのですが、それでも一緒に働く機会を得たメンバーに対して長く働き続けてもらう事は大切だと思うので、ここに少し考えた事を整理しておこうと思います。


前提と方向性

シンガポール、もちろん米系の企業において終身雇用という概念はありません。なので、前提として、誰でも常により良い機会があれば他社に転職し、雇用主はより良い待遇、機会、将来への希望を与える事が大切であるという前提を置きます。なので、常にお互いに緊張感が良い意味である状態であると考えています。実際に、他社からアプローチを受けて業界内での転職をする人は多く、転職した方が給与そのものを上げる事は簡単であるため、かなり転職をするインセンティブは大きいです。そんな中で、どう待遇、機会等を与えていくのかを整理していこうと思います。


相手のモチベーションの優先順位を理解して適切な打ち手を。

こう書くと当たり前なのですが、結構難しい事が相手の事を理解する事です。具体的な質問としては、

・現状の待遇に対してどう思っているのか?給与、ポジション、自己評価等

・働く上でのモチベーションは何か?何を大切にしているのか?

という点で分解して理解をする事が大切だと思っています。

色々な職種や性格がありますが、自分の場合は5個にモチベーションを分類して考えています。


0. 金銭

これはもうワイルドカードなので先に書いていますが、金銭的待遇はほぼ全ての人たちのモチベーションである可能性が高いです。そこで理解しなければいけない事は少し待遇上げた事でモチベーションが高まるのか、そもそも現状の給与は業界でベンチマークをした時にどの程度に位置するのかという視点を持っておくと良いと思います。人事にそういうデータベースがあると思うので、もし仮に業界基準より低い場合は人材流出リスクがある程度高いという事が分かると思います。


1. 権限、責任の大きさ

こちらはいわゆる上昇志向の高い人と表現される事が多いですが、例えばマネージするチームメンバーや責任が増える事で達成感を感じるタイプのモチベーションです。多くの場合、話していて表に出てくる事が多いですが、キャリアプランや将来の目標等を聞く事で理解できる事が多いです。


2. 感情的なつながり

このモチベーションを大事にする人たちは、例えば外部だったらお客さんに感謝されたり、内部なら役に立ったとちゃんと実感して仕事をできる事でモチベーションを高めていきます。職場のハーモニーを高める事でモチベーションを高められます。


3. 構造化された仕事のプロセス

このグループの人たちは、想定の範囲内で何かが起こる事を嫌がり、多くの事を事前に準備をしてしっかり進む事で安心するタイプです。社内のSOPをしっかりと整理、職務要件を定義、プロセスに則り進めていく事で安心して働き続けてくれます。マネジメントとしては、しっかりと社内の仕組み作りを行う事でこういった人たちを維持できる可能性が高いです。


4. 楽しくワクワクする機会の提供

このグループの人たちは、何か変化の大きく新しい事を実施していき、また発表の機会を与える事によって、モチベーションを高めてくれます。チームの文化やビジョン等に共感する事も多いタイプと言えます。


このように必ず避けられる訳ではないのですが、上記の事を意識して一人一人今後は丁寧にアプローチしていこうと思っています。ちなみに、1-4には元ネタがあって、Insights personality testというもので自分自身も受けているのですが、非常に有用なので、どこかで紹介するかもしれません。