2021年6月26日土曜日

Strategy teamってGeneral managementへのキャリアパスなの?


 

「Strategyチーム(経営企画)って会社全体の事も見られるしジェネラルマネジメントに一番近いのかもなーと思ってたんだけど、中で働いてみてそれって結構違う気がするなって最近思ったんだよね」とFortune 500の会社で経営幹部育成プログラムのローテーションの中で働く友人がある日ワインを片手に話題を振ってきました。彼女曰く、Strategyを決める事は多くの場合、各部門長が行っており、実際は調整的な仕事が多かったり、何か特定のプロジェクトで具体的な提案をしても中々実行されないことが不満だったようです。また、Strategy ManagerからDirectorに上がっていっても彼女が手に入れたいGeneral Managementのポジションにうまくつながらなさそうだという意見を持っているようでした。

個人的に上記の内容を興味深いと思っていて少し前提条件と排除条件、またStrategyチームからGeneral Managementへのキャリアへ切り替えた例も示して総合的な意見を書いてみようかと思います。

そもそもStrategy teamの職務責任は?
日本語で経営企画とかって言ったりするとさらに複雑になるのですが、組織によって持つ責任が大きく違って、結構難しいです。CEOの課題を解決するインハウスコンサルタントのようなポジションな事もあれば、Strat planと呼ばれる資料を作るまとめ役や調整役に過ぎない事もあります。なので決まりきった事が言いにくいのですが、一旦全体的に当てはまりそうな事を書いていきます。
また、2020年のデロイトの調査によると39%の企業がCSO(Chief Strategy Officer)というポジションができてから五年以内という事から少なくともCSOというポジションに関してはもしかして比較的新しいポジションである可能性があります。

CEOになるキャリアとしてStrategy部門を経由する事はあまり典型的ではない
次に逆の視点でCEOってどういうキャリアパスを辿る事が多いのかという視点で見てみようと思います。こちらのForbesの少し古いですが、2015年の記事によると下記が一般的なようです。
  • 会社の一番主要なビジネスのBusiness unit headを率いるOperational role
  • CFOを経験(32%のCEOがCFOを以前経験している)
CSOまで行かないまでも、Strategyチームから、小さい部門のリーダーになる事も同様の事が言えるのではないかと観察している範囲でも思います。

General Managementに必要な要素を満たさないのでは?
また、General managementに必要な要素としては下記の要素があります。(ここは私見なので将来修正予定)
  1. P&Lの責任を持ち、自分でビジネスを成長させ実行する
  2. 多様な人材、機能のチームの多層のチームをマネジメントする
まず1.に関してですが、Strategyチームが実行まで関わる事は稀で、また売上に責任を持つ事もほぼありません。少なくとも営業等において、リソース配分や売上を達成する経験等をしていて小さいレベルで成功できるならチャンスをあげてみようと思えるような機会があまりない可能性があります。
次に2.に関してですが、多くの場合Strategy teamは少人数でマネジメントコンサルタント等の経験を持った人がチームに大きくいる可能性が高いです。また少人数であるからこそ、マネージャーをマネジメントするような多層でのマネジメント経験もなく、共通言語があまりないようなチームメンバーをマネジメントする、もしくはそういったポテンシャルを見せるという経験が足りない可能性があります。

ただし、うまくキャリアチェンジを図っている例もあります。
Strategy teamからPivotしていくつかGeneral Managementへのキャリアを経ている例もあるので共有してみようかと思います。
  • 全社のトランスフォーメーションの旗振り役として仕事をする上で社内に詳しい人が誰もいない領域にチャレンジするため結局自分が一番詳しくビジネスリーダーになり、新しくできた部門を率いた例
  • ポートフォリオ分析をした結果足りないポートフォリオを他社との提携で埋める事になり、その提携案件を率いた結果、締結後もそのビジネスを社内でリードする人になりビジネスリーダーになった例
  • 特定の部門のプロジェクトを実施する上で、事業部長から人材としての質を買われて、その事業部への分析部門長へPivotして、それから事業部のマネジメントにキャリアを切り替えた例
色々例はあるのですが、そのまま順当に行ってGeneral Managementになるキャリアじゃないんじゃないのかなっていう事が大枠としての話でした。

2021年6月18日金曜日

機嫌の良さもリーダーシップ

 

「最近、結構大変な状態なのかなと思って心配してたけど、今週くらいから落ち着いたみたいで良かった」
と自分のチームのメンバーある日言われた事がありました。あー、気を遣わせてしまったなと思った後に、言い方はマイルドにしているけど多分不機嫌そうに見えたんだなと思ったんだなと思い、
「どういうところからそんな印象を持ったかな?可能なら直したいと思ってるんだけど」
と聞くと
「オフィスに来た時にいつもはニコニコHi! って皆に挨拶するのに考え事をしながら歩いているようだったし、個室のドアもいつも閉めっぱなしで声をかけて欲しくないのかなと思った」
という一連の会話がありました。

これは実は相当反省しないといけないなと思い、こんな記事を書いています。まず不機嫌が与える悪影響ですが、ぱっと考えただけで

  • チームメンバーが不安になる
  • チームメンバーが話しかけにくくなる→情報が伝わらない
  • 感情的に意思決定をしてしまう
  • 感情的にコミュニケーションをして、関係性を悪化させる
等々の数多くの問題があります。当然改善する必要があるのですが、それでも自分も含めて世の中のボスたちは機嫌が悪そうな人が結構多いですよね。原因としてはざっくり言うと下記がありそうです。
  • 機嫌が悪そうな事に気が付いていない
  • 影響力がそもそもない
  • 機嫌が悪そうな事による悪影響を理解できていない
  • 機嫌が悪そうな事を理解しても自己管理できない
  • 機嫌が悪そうな事の悪影響よりメリットが多いと判断している
極端な話を言うと、People managerではない人は機嫌が悪くても問題は比較的小さいです。もちろん周りのメンバーに対して少し悪い影響はありますが、人事権や評価を握るボスが機嫌が悪いよりも問題としては非常に小さいと思います。

じゃあどうしたら良いかっていうと、
  • 自分の機嫌の悪さをしっかり自己判断できるようになる
  • 機嫌が悪そうな振る舞いを無意識にしていないかFeedbackを能動的にもらう
  • 機嫌が悪くならないようリラックスする方法を見つける
  • どうしても機嫌が悪くなりそうな時はそういった姿を見せない等回避方法を考える
等があると思います。

色々書いてみましたが、機嫌が良さそうにいる事はチームを運営していく上で大変重要な要素で、そこを自分で振り返って改善していく事って大事ですよねって話でした。

2021年6月12日土曜日

「自分のチーム」の区切り方

Aさんは複数ヶ国を見るマーケティングの仕事をしていましたが、最近昇進して、一つの部門のP&L責任を持つ事になりました。立場としては、今までの仕事のカウンターパートだったところに移った事になります。P&Lオーナーには初めてなったAさんですが、苦労しつつもしっかりと事業を立て直していきます。レポートライン上にいるチームメンバーに対しては特にしっかりとケアをしつつ、機会を与え、コーチングを行い、十分なリーダーシップを発揮していきました。そんな中ある日、普段の仕事の中で元々の自分の仕事であるカウンターパートのマーケティングチームの仕事に不満を持っている事に気が付きます。
「自分だったらこんな事はしないのになぁ」
「自分だったら事前にもっとここを考えてしっかり準備しておいているはず」
ただし、あくまでマーケティングチームはカウンターパートであってレポートライン上の自分のチームメンバーではありません。自分の事を顧客だと考えているAさんはマーケティングチームに対して、要求レベルを満たしていない事、改善する必要がある事を伝えていきます。
そうするとマーケティングチームはマーケティングチームでプライドがあるため、関係性が悪化してしまいギスギスしてしまいました。
Aさん「仕事の質が低いけど、自分のチームじゃないから価値を出してくれないと意味ないんだよなぁ」


と、上記の架空の事例についてAさんができる解決方法について今回は書いてみようと思います。もちろん、コミュニケーションを改善するとか、フィードバックの方法を改善するとか戦術的な事でも対症療法は可能なのですが、今回はもう少し根本的な方法を書いてみようと思います。今回の件の大きな問題は、「自分のチーム」の定義です。Aさんは自分のレポートライン上のメンバーを自分のチームと捉えて、それ以外を外部として捉えました。ここが大きな問題で、外部と捉えたら付加価値を受け取る事が目標になってしまいます。


古く項羽と劉邦の例にもありますが、項羽は自分の家臣に対して大変優しく、それ以外を的と捉え厳しく接していきます。それに比べて劉邦は自分以外の人に感謝し力を発揮してもらう事で項羽を破っていきます。(歴史の理解が違ったらぜひ教えて下さい!訂正したいです。)


もう少し別の言い方で言う「器の大きさ」になるかと思いますが、もしAさんが「自分のチーム」という定義を広く捉えてレポートラインのチームはもちろん「自分のチーム」、カウンターパートも「自分のチーム」、外部の企業やその他も含めて顧客に役に立つ人たち皆含めて「自分のチーム」と捉える事ができていたら、単純に価値を出していない事に関して批判をして、改善要求を伝えるという事もなかったでしょう。


新しくマネジメントのポジションになった人は自分のレポートラインのチームにばかり目が行きがちですが、視野を広く持って、自分の器を大きくしていく事も大事で、より大きい視野に立てた頃には次のより大きなポジションの仕事をしても実質変化がない状態になるため移行がスムーズになると思います。

2021年6月6日日曜日

いきなり本題に入らずFramingを使ってスムーズなコミュニケーションを

 





Are you open to some feedback?

という言葉を信頼しているインドのGMがある日言ってきて、お、何だろうって思いつつ、
Of course, I am always open and more than happy to hear your feedback.
と返事をして仕事関連のインドと調整している案件に関してアドバイスをもらいました。

その時は同僚なんだから当然でしょー。と思って何も感じなかったのですが、心理的安全性について本を読み、自分のチームを改善する中でこういった頭出しを先にすることの大切さについて気づくことが増えてきました。別の記事で書いているのですが、リーダーシップコーチとのセッションを定期的に持つようにしていて、そのコーチに相談したところFramingっていう呼び方があって、影響力が強いポジションになる人こそ気をつける内容だと共有してもらいました。

Framingと名前はついているもののそんなに難しい話ではなくて、議論を変えたり何か意見を言う前に、どういうことを言おうとしているのかを伝えるというシンプルなものです。初めの例にあったもの以外だと Do you mind if I share my opinion? とかもあり得ると思います。

影響力が増して来ると突然想定外のことを言われたりするとチームメンバーは戸惑ったり人によっては少し恐れを感じたりすることがあります。普段のコミュニケーションからそういったリスクを減らすためにこれから伝えようとしていることをざっくりと伝える。ということで相手側に対して心の準備をさせることで受け取りやすく、また安心して次の話を聞けるという効果があります。

意識して少しずつ実施してみて思ったのですが、副次的効果として相手の話を遮らずに聞くという効果もあることが分かりました。これはもしかしたらFramingを実施できるときは常に心の余裕がある時という前提があるかもしれないのですが、相手の話が終わるのを少し待って、そこから頭出しをして本題に入るという流れになる事が多く結果的に聞くということにつながるのだと思います。

ということで今回は会話のちょっと気を付けるFramingのお話。