2021年3月28日日曜日

家族のキャリアや教育におけるロケーションの交差点


 

今回は国を超えて生活する上で避けられない家族との課題についてちょっと書いてみようかと思います。違う国のGMとしてテコ入れに異動したり、新しい責任をもらって国を越えたり、"Mobile"である事はマネジメントキャリアの上で非常に重要な要素です。MBAの同級生や知人の中にも色々な例があったので、それについて少し書いておきます。ちなみに事例は事実ではなくいくつかの組み合わせで書いています。


事例1) 

カップル揃って有名なMBAを卒業して片方は中東でのキャリアをそのまま続け、片方はローテーションプログラムに入ったため、どこに行くか分からない。子どもは欲しいもののずっと遠距離で子どもを育てる事については答えが出ないまま長い事経っている。

事例2)

片方は夢だった仕事を別の国で見つけ引っ越しして働きたいものの、もう片方の仕事は資格職で国を超えると専門性が活かしにくい仕事になっており、結果遠距離の結婚を維持している。

事例3)

片方は満足いく仕事を別に国で見つけ、引っ越しもう片方はリモートでできる仕事をリモートで実施している。ただ、リモートでは昇進する機会が限られている事を認識していて天井を実感している。

事例4) 

片方は新しい国で新しい会社で働き慣れるため必死に頑張る中、もう片方が異文化適応力が高くないため、家庭のマネジメントも大変で苦労している。

事例5)

片方は夢の仕事の性質上、途上国での仕事を歴任するキャリア。もう片方は母国で自分のビジネスを立ち上げたためついていく事は難しい。結果、別の人生を歩き始める事に。


と、まぁ色々と書いてみたのですが、特にこれが正解だ!というものがあるわけではなくて、将来国を越えたマネジメントキャリアを考えている人は、家族のキャリアの問題が生じて来るので考えておいた方が良いですよっていう事だと思います。


考えておくべき論点

  • 自分はどの程度キャリア上のmobilityを持って働いていくのか
  • パートナーのキャリアはどんな方向性か
    • そもそもキャリアに対するパッションはどれくらいあるのか
    • 他の国で働く事に気持ち上の抵抗はないか
    • 他の国で働く事に言語上のボトルネックはないか
    • 他の国で働く上で、専門性等の問題はないか
  • パートナーのボトルネックがあった場合、どんな準備をしておく必要があるのか

今まで見てきた組み合わせのパターン
  1. 両方がリードキャリアを取り、別居で結婚を継続する
  2. 片方がリードキャリアを取り、もう片方はポジション、仕事内容等でやや妥協する
  3. 片方がリードキャリアを取り、もう片方は仕事以外の事に専念する
  4. 上記の時間軸における組み合わせ
何が正解という訳ではないものの、上記の組み合わせが多い気がします。子どもが増えてくると選択肢はもっともっと複雑になるので一旦割愛はしていますが、こんなパターンが多そうです。ただ、2に関しては、最近リモートワークでも十分価値を出せる業種や職種等もあるので、より選択肢は増えてきているんじゃないかなと思います。

2021年3月21日日曜日

ゼロから考えるボーナス設計


 年初の大事な仕事の一つがSales Incentive Planと呼ばれる営業のスタッフに対するボーナス設計ですが、それについて少し考えている事を書いてみようと思います。

いくつかのステップに分けて設計をしていて、そのステップごとにいくつか気にしている事をシェアしておこうかと思います。この設計については体系的に勉強をどこかでする必要があるなと思っています。


理想像設計フェーズ

すでに作成されている(はず)の戦略を見返して、達成したい目標のための要素が十分カバーされているか考えます。この際に例えば、○○のチャネルの売上も伸ばしていきたいから、最終売上だけではなくて、○○チャネル経由だとより高い報酬を支払われるように設計する、とか売上だけではなくて売掛金を回収して初めて売上と認定できないだろうか等理想を一回全て詰め込んでマネジメントとしてあるべき像を作るようにしています。あとは、新製品を伸ばしたい時は新製品に対しては特別に追加して報酬を出すという事も検討可能だと思います。


リアリティチェック

次にリアリティチェックとして、

  • 実際に運用可能かどうか
  • 毎日、少なくとも週単位で数字を追いかけていく上で複雑過ぎないか
  • 極端なシナリオを準備して、仕組みをハックされないか
  • 営業のスタッフにとって十分達成可能か
等を確認していきます。この中であれこれ投げ込んだ理想像を削ぎ落としてバランスを取っていく作業です。仮に削ぎ落とされた結果、取り込む事ができなかった要素も翌年の考える材料になるので、どこかのノートに書いてまとめておくと良いと思います。
また、確認する際は、営業のマネージャー、ファイナンス、人事等のスタッフと確認をしてありとあらゆる面から穴がないか確認しておく必要があります。

一般的に設計する上で考慮するレバー
  • ベース給与とインセンティブの割合
  • インセンティブの支払う頻度
  • 評価する際の要素(売上、リード件数、売掛金回収後の金額、等々)
  • 目標達成度合いに対する報酬の伸びのカーブ(目標達成90%だとどれくらいの報酬か、130%なら?)
もっと色々あると思いますが、主な要素はこれだと思います。


報酬設計は、文化、法律、雇用体系、チームメンバーの性格等多くの要素が関わってくる複雑なものなのですが、ステップを踏んで要素をしっかり考えて多角的に見ていく事でより目的に合致したものができると思います。なので、そんな人への考える材料になったら幸いです。

2021年3月14日日曜日

チームメンバーに対する悪い評価の伝え方

 

多くの外資系企業では、年末に会計年度を閉めて、1月までに評価を提出したり社内で調整して、2月にコミュニケーションするところが多いと思います。チームの人数やパフォーマンスによりますが、良いパフォーマンスの人がいればそうでない人もいると思います。今回はそういった悪い評価をどう伝えるのかという事について、今の理解を書いてみようと思います。


事前にできる事

まず事前にできる事なのですが、下記を意識しています。

  • 評価項目を明確にしておく
  • 中間評価を伝えて期待を合わせ、挽回可能にする
  • 評価項目ごとに定量化、事例をしっかり集めておく
評価というのは想定外なものが伝えられるべきではないと思っていて、事前に目標と評価項目を設定、それを地図のように使いながら定期的に日々の行動が結びついているかをしていく事が大切だと思っています。なので、上記の事を事前段階として準備しておく必要があると思います。なので、一年間通して、常に評価を伝えつつそれを一緒に上向きに変えていくように議論し、進めていくそのような方向で考えています。

評価面談中でのコミュニケーション
さて、実際の面談中でのコミュニケーションですが、大きく「結果を伝える」「新年度に向けたコミュニケーション」の2つに分けて話すようにしていました。

結果を伝える
  • 悪いニュースこそ一番最初に
  • 理由を明確にし、定量化された内容や事例を参照する
  • コントロールできなかった仕方ない要素とコントロールできたはずの要素に分けて、原因を説明する
  • 一旦質問を受ける時間を作り、反論等を言いやすい雰囲気を作る
新年度に向けたコミュニケーション
  • 長期的なキャリアプランについて確認する(把握しているはずと前提してます)
  • 今持っていて継続もしくはより高めて欲しい要素を伝える
  • 新年度の目標と改善すべき要素について、大まかに合意する
というような要素で話しています。後者は可能な限り長期的な目標を思い出してもらったり、良いところを褒める事でモチベーションを高めやすくする下地を作りつつ、ざっくりと今年度の合意は行い、詳細な目標については評価を受け取って消化し終えてからした方が効果的だと思っているので、一旦これくらいに止めるようにしています。

結果を伝えるってところの3つ目の要素なのですが、正規分布にするためだったり景気や外部要因だったり本当どうしようもなく本人の原因じゃなく評価が下がってしまう事があります。それに関しては、それでも評価は付いてしまうけれどもコントロールできなかった事に関しては理解を示す事は大変大事だと思います。


こういうのももっと良い型みたいなものがあると思うのですが、今回言語化できたので、これをたたき台に今後も改善していきたいなと思います。なので、インプットやフィードバックやコメントをいただける方は本当助かるので、どんな方法でも良いのでご連絡ください!

2021年3月7日日曜日

チームメンバーに対する悪いニュースの伝え方

 


最近Twitterで受けている質問に答えている間に、意思決定はトレードオフがあるからこそ価値があって、そのトレードオフの結果生まれるマイナス面は腹をくくって呑み込んでいくしかないよねって事を思う事がありました。

転職してから、ビジネス自体はうまくいっているものの色々と難しい局面もあり、その中で様々な悪いニュースのコミュニケーションをしてきました。その中で、いくつかの考えてきた事をまとめておきたいと思います。


悲しみの五段階を意識して、準備をする



こちらに家族が死別した例が書いてありますが、悲しいニュースがあった時に下記のプロセスを経る事が多いです。

否認→怒り→取引→抑うつ→受容

最初のミーティングでどの段階まで達成しようとするのか、誰がどこまで担当するのか、長期的なフォローアップはどうするのか、等を事前に決めておく必要があります。また、どの段階まで到達したのかをミーティング中に見極める事も大事だと思います。

悪い情報は一番最初にクリアに伝える

多くの場合ミーティングの目的をそのまま伝えずにミーティングをセットしている事が多いと思います。目的が分からない急なミーティングは多くの人が不安になるもので、中途半端に回り道をするよりも結論から悪いニュースを伝える事が真摯な対応だと思います。また、その中で自分のできる事できない事を明確に伝える事も必ずしていました。

オプションを可能な限り提示する

すでに決まった結論の中でも方法やその中の小さい部分でも本人が選べるように準備をし、選択肢を複数提示できるように準備をしておくと良いと思います。例えばリストラだった場合、単なる解雇ではなく、パッケージを準備している事が多いと思うので、その2つでも十分選択肢です。

真摯に対応をする

こういった経験はマネジメントとしては必要な一方、必要以上に慣れる事は良くないと思っています。こういった事がある度に悲しみ、それも呑み込んで次に進んでいく。可能な限り悪いニュースを聞く人に対して個人でもできる事をしていく事が良いリーダーの証だと思っています。