2022年12月31日土曜日

相反する文化とそのバランスこそがマネジメントの肝


   最近、一社目の大先輩と食事をすることがあり、その人の見てきた大変成功したリーダーの特徴について色々と議論していました。その時聞いた内容の中に、自分も少し知っている尊敬できる方はチームメンバーに対しかなり高い目標を設定し、目標達成が難しそうだと判断したら全力で助けに行くというスタイルだそうです。これについては自分は遠く及ばないもののかなり共感することがありました。
   上記の例を少し抽象化してみると、重圧とサポートといったように一見相反する文化を準備していて、そのさじ加減やバランスが非常にうまく行っているため成功しているのではと仮説を持っています。重圧だけでは人はついて来ず、サポートだけでは目標は達成できないためその両方をうまく調整していくことが必要であり、その匙加減こそがリーダーシップだったり、魅力に繋がるのではないでしょうか。最近読んだHBRの記事(The Hard Truth about Innovative Cultures) においても、下記の例があがっていました。(ちなみに、この記事は結構面白いです)
  • 失敗には寛容であっても、能力不足は寛容ではない
  • 実験に対する意欲はあるものの、規律が取れている
  • 心理的安全性はありつつ、率直に意見を言う
   この辺のところは、人間関係、性格、環境、本人の性格等に大きく変わってくるのですが、複雑でAIに代替しにくいからこそ面白く価値があるんじゃないかと感じています。

2022年12月25日日曜日

降って来るプレッシャーはフィルターしてチームメンバーに渡す


   さて、多くの企業においては数値目標の達成は非常に重要な要素の一つで、事業責任者としては、まず数字を達成してそこからプラスアルファで他のことを達成していく事が大切だと思っています。ただ多くの企業の目標の数値はかなり頑張ってようやく届くという数字が多かったり、他の地域がうまくいっていない時にその分を回されたりとかして、なかなか達成することは難しいでしょう。もちろんそれを達成してこその責任者なのですが時にはボスだったり、ボスのボスだったりからプレッシャーをかけられることもあるかと思います。そんな時はどうしたら良いだろうねっていう話が今回の課題です。
   まず最初にしてはいけない事としては受け取ったメッセージやプレッシャーをそのまま何も考えずに伝えることです。多くの場合、コミットメントやその他の観点からジュニアなメンバーに受け取ったプレッシャーをそのまま伝えても効果的ではありません。結果を出しているチームメンバーは自分は関係ないと思うでしょうし、結果を出していないチームメンバーは既にプレッシャーをある程度受けており、追加でプレッシャーを与えることで問題が解決しないことも多いでしょう。
   オススメとしてはボスから受け取ったメッセージやプレッシャーをいくつかに分解して、新たな短期的な目標として掲げる事だと思います。メッセージの大きな構成としては
  • 自分は責任者として●●という目標を達成しなければならないものの、未達でボスから改善依頼が来ている(どういったトーンかは明示しない)
  • その目標達成のために、追加してXXという目標を加えるため、協力して欲しい
といったような構成が一般的ですが、この時にチームメンバーがボスの力になりたいと思えるような人間関係を日々構築しておく事が大切だと思います。チームメンバーからすると追加で目標が増えたりする訳なのであまり良いニュースではないのですが、悪いニュースを超えるくらいそれまでチームメンバーを助けて信頼を築いておくことが大切ですのでぜひ日々実行してみる事をおすすめします。

2022年12月17日土曜日

影響力の大きいリーダーになった以上、フェアに判断される事は諦める


   最近会社を辞めた元ボスと話す機会がありました。その際に、自分がマネージャーくらいの時は自分自身の影響力もさほど大きくなくちゃんと説明して結果的にフェアに判断されることがある程度期待できるものの、マネージャーが自分にReportするくらいになるようになるとフェアには判断されなくなるよっていう趣旨のことを言われました。(ちなみにHBRを読んでたら同じような内容の部分を発見)。影響力が小さいうちは自分の人となりを相手が理解してくれて、そういった文脈を含めて判断してくれることが多いものの、HBRの表現に従うと、問題からの距離が遠くなるほど文脈に対する理解がなくなってきます。
   じゃあどうしたら良いのかという話でいくと、単純なのですが腹を括るんじゃないかと思います。考え方によっては上記のことは理不尽なことだと思うのですが、多くの場合事業責任者に求められるのは理不尽さを飲み込んだ上で帳尻を合わせて組織を動かし結果を出していく事だと信じています。私自身もチームメンバーに対しては理不尽を極力減らそうと努力していています。なぜなら責任者が理不尽を減らすことでより高い成果を出すことができるようにすることが自分の責任だと思っているからです。
   なので、リーダーになっていく上で、フェアに判断されるという事を諦め、ある程度の面の皮の厚さ、理不尽を含めて併せ呑む事といった事が大事になり、そこも自分に適性があるか判断する一つの軸になってくるんじゃないかなということで今回の文章を書いてみました。

2022年12月10日土曜日

社内にメンターを持つ意味


   みなさんは社内にメンターっていますか?会社によっては正式にメンターをアサインしてくれたり、そう言う仕組みがあったりすることも多いんじゃないかと思いますが、仕組みがない会社でもメンターという存在は非常に貴重なのでぜひオススメですよって話を今回書いておこうかと思います。
   自分も前職でAPAC全体のマーケティングの仕事をしていた時に東南アジアのGMをメンターとしてアサインしてもらっていました。仕事で直接関わることはあまりなかったですが、家族の事、社内での次のポジションの事、目の前の仕事で困っていることなど本当色々とアドバイスをもらって素晴らしい機会でした。何より素晴らしいと思っているのが、前職をやめても半年に一回以上は連絡を取ってお互いに色々と話すことです。特に自分が東南アジアの半分くらいを管理するようになってからは同じ目線で議論することも多く本当に貴重な時間です。
   じゃあそんなメンターということですが、どういう人を選べば良いのかという点について書いてみます。まずは当たり前なのですが人として信頼できる人を選びましょう。社内の複雑な事情等も含めて相談することが多いと思うので善意で対応してかつ秘密を守ってくれそうな人が良いと思います。次に直接仕事で関わる人ではなく隣接部門のポジションが自分より上の人が良いと思います。直接仕事で関わる場合利害関係が生じてきてしまうので不適切なものの、背景や関係者等に対してある程度理解がある必要があります。なので、自分が営業だったらオペレーションのVPだったり、マーケットリサーチVPだったりが良いんじゃないかなと思います。
   どうアプローチをするかと言うと、仕事で具体的な何かについて意見が欲しいということを1−2回してみて、その流れで非常に良いアドバイスをもらえて本当に助かったので定期的にもう少し広いことについてアドバイスをもらうメンターになってもらえないだろうかという形で打診するのが良いかなと思います。もし可能なら直接のボスに話をつけてもらうのも良いかもしれません。
   ということで、私にとって素晴らしい財産になったメンターについてでした。

2022年12月5日月曜日

悪いニュースを伝える時は 相手の感情の消化のプロセスを意識する

   マネジメントの仕事をしていると、外部内部等に対し悪いニュースを伝える時が出てくると思います。例えば、人を解雇する時や代理店の契約を打ち切る時など、かなり当人にとっては悪い影響が大きく、本人に伝える際はかなり色々と考える必要があります。今回はそういった比較的大きい悪いニュースを伝える際にコツについて説明しようと思います。

   そのサイクルは、Grief cycleと呼ばれているのですが、5つステージがあります。

1. Denial: 否定

最初のフェーズは衝撃的な事実が受け入れられず事実を否定し、事実から目をそむけるような言動を取ります。

「まさか」「こんな事が起こって良いはずがない」等々のコメントが典型的です。

2. Anger: 怒り

次に事実を受け入れたあと、様々な対象に対して怒りを覚えるようになります。その対象は目の前の人だったり、自分だったり、本当様々です。

3. Bargaining: 過去の行動に対する後悔

怒りが収まったあとは、自分の過去の行動について振り返りあの時こうしていればと思い、後悔をし始めます。意味が特にない行動ですが、心を落ち着かせるためのプロセスです。

4. Depression: 落ち込み

過去の行動について後悔をしても仕方ない事に気がついて、落ち込みます。人によってはここの時間が大変長くなることも多いです。

5. Acceptance:受け入れ

最終的に現実を受け入れて次のステップを探すようになります。

   まず、悪いニュースを伝えないといけない方としては事実を受け入れてもらい、怒ってもらうことも十分想定して、コミュニケーションを色々と準備する必要があります。同時に悪い情報を伝えるミーティング内で可能な限り次のステージに行くように誘うような質問を準備しておくと良いでしょう。レジリエンスの高い人は受け入れるまで非常に早く到達しますが、中には時間がかなりかかる人もいます。