さて、前回に続いてワーキングホリデーから留学に切り替えてそこから海外就職をした方の紹介です。この場合も元々の専門性が活きている印象ですね。
簡単なバックグラウンド
- 東京出身。東京の四年制大学(私立文系)を卒業。
- 準大手証券会社でリテール営業を6年間行い、営業成績は優秀で社長賞を複数回受賞。
- 企業や業界のコンプライアンス意識や将来性に不安を感じて退職し、結婚していたが、一念発起して海外MBAを目指すため、30歳でオーストラリアへワーキングホリデーに行く。
- 31歳でシドニービジネススクールに入学し、1年半のMBAプログラムに参加。
- 卒業前に香港での仕事が見つかり、卒業後すぐに香港へ移住。
- 香港ではM&Aに関する金融情報ベンダーで日本向けセールスとして6年間働く。途中、マネージャーとして2人の部下を持つ。
- 会社のオーナーが変わり、多くの同僚が去っていく中で、自分も退職を決意。
- 現職に移って現在およそ3年。現在も日本向けの金融情報ベンダーで営業をしている。
海外就職する前に海外経験はありましたか?
- 大学3年生の時に2週間の短期留学プログラムでニューヨークに滞在。それが初海外で、それ以降は短期の旅行のみ。本格的な海外経験は30歳でのワーキングホリデーが初めて。
香港で働く理由を挙げると何がありますか?
- 子供の教育面が大きい。香港ではバイリンガル/トリリンガルの教育がスタンダードになっており、自分が英語で苦労した経験から、日英のバイリンガル教育を施したいと考えている。
- 給与水準や所得税などの資産形成についても多くのメリットがある点も香港の魅力。
どのように仕事を見つけましたか?
- 香港に支店をおく日系のエージェント経由で見つけた。
日本との働き方の違いや海外で働くことの苦労は何かありますか?
- 今は日本でも働き方改革などで、私が働いていた頃と比べると、だいぶ働きやすくなっているはず。働き方の違いという点では、香港と日本は少しずつ差が無くなってきていると感じる。極論、香港でも日本でも企業次第。
- 幸いにも経験した2社とも個人の裁量が大きく、営業成績を出していれば勤務時間など特に問題視されない。上司も昼休みに1~2時間いなくなってジムに行ったり、ゆったりとランチを食べたり、私用を片づけたりしている。
- 仕事での苦労を挙げるなら、自分から行動を起こさないと何も始まらないということ。誰もが何か分からないことがあれば助けてくれるが、困っていれば手が差し伸べられるわけではなく、自分から動かなければならない。
- 不明点があり社内で適任者を探すのに苦労することがある。税金やビザ関連も基本的には自己責任でやらなければならないので、慣れるまで苦労する。
ビザの苦労はありましたか?
- オーストラリアでワーキングホリデービザから学生ビザへの切り替えをするときに少し手間がかかった。エージェントの方が優秀だったのでサポートしてもらえて大変助かった。
- 香港での就労ビザはすぐに発行されて、苦労はなかった。
現在どのような仕事をしていますか?
- 金融情報ベンダーの営業。顧客はバイサイドと呼ばれる運用会社や生損保、年金などのアセットオーナー。現在は日本と香港にあるグローバルファームを担当している。
今後のキャリアについての展望を教えてください
- 自分のキャリアは営業と金融という2軸で15年以上やってきた。この2軸はブレずに今後もキャリアを築いていく。
- 前職ではマネージャー職も経験したが、自分には合っていなかったと感じている。将来的にはチームマネジメントに再度挑戦する可能性はあるが、基本的にはコントリビューターとして数字を作っていく方が自分には向いていると感じる。
- 香港が気に入っているので、仕事がある限り拠点は香港から動かすつもりはない。
- 60歳前後で引退を考えている。その際は日本に戻りアルバイトとしてホスピタリティ業界で英語を活かし、観光客に喜んでもらえるような仕事に就きたい。
これから海外就職をする人へアドバイスや総括をお願いします
- 自分は20歳まで海外に行ったことがなかった。30歳でワーキングホリデーで渡豪するまで英語もろくにしゃべれなかった。
- MBAのプログラムになんとか滑り込むことができたが、当時IELTSのSpeakingスコアは5.0~5.5くらいだったと思う。
- それでも卒業はできたし、海外で就職し数年経って英語で自信を持って仕事ができるようになった。
- 一流の国公立大学も出ていない、海外トップのビジネススクールを卒業したわけでもない、帰国子女、駐在経験があったわけでもない、そんな自分でも30歳、英語能力ほぼゼロからでも海外での就職はできた。
- 色々な事情で最初の一歩を踏み出せないと感じている人には、ぜひ勇気を持って挑戦して欲しい。
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