2022年7月30日土曜日

海外MBA卒業後、日本で働く方が条件の良い仕事が多いのか?

先日母校のMBA留学説明会を手伝っていたら留学に興味がある方から、MBA留学しても帰国する人が多いのは、日本の方が条件の良い仕事が多いのか?という質問を受けて、「いや、別に日本は基本的に給料が安い国だから、条件が良いとかじゃないと思いますよ」って伝えたりしていたのですが、結構答えが雑になってしまったなと思ったので、いくつかまとめて書いてみようかと思います。ただ、条件が良いと言っても本当考え方は様々で、議論を大変簡略化して書いてみようかと思います。

まず、色々目線を合わせるために前提としては


  • 家族等の理由の帰国は除く
  • 社費留学で誠実な性格から職場に戻る場合は除く
  • [条件の良い仕事]は金銭面のみを考慮する
  • エンジニア等の技術職ではなく、マネジメント・プロフェッショナルを前提とする
  • 物価差、税金等は一旦考慮しない
  • 学部生ではなくある程度経験を積んだMBA留学等を前提とする

先進国で比較するとMBA卒業生の給与は日本は低い













INSEADの統計なのでコンサルティングファームに偏っている可能性はありますが、それは他国も当てはまると考えると日本の給与は振れ幅も平均も低くなっています。なので、まず言える事としてはMBA卒業後日本で働く人は条件が良いとは言えない可能性が高いです。

日本に帰国する事で英語をできる事が強みになり競争に勝ちやすい



















以前のブログにも書きましたが、日本語ネイティブである事は日本の必須条件であり、加えて英語を話せる事で強みになります。ところが他国で働く上では、英語で仕事ができて当たり前でそこがスタートラインになるためむしろボトルネックになってしまいます。結果、仕事自体は抜群にできるわけでもない人が英語ができる事で競争に勝ちやすく、より良い待遇を得られやすいポジションであるでしょう。

ただし、長期的に競争に勝ち抜いて登って行っても日本では条件の良さは非常に限定的






















ソース: 役員報酬サーベイ-MERCER EXECUTIVE REMUNERATION GUIDES 2016

ちょっと古いデータなのですが、日本で競争に勝ち抜いて行っても、もらえる給与の上振れは限定的で長期的に見てもそこまで「条件が良い」とは言えないと思います。

なので、結果としては他の国でも十分競争に勝っていけると思う人は他の先進国に打って出て上振れを狙いに行く方が条件が良く、日本という英語ができるだけで付加価値が大きくなるユニークな環境で勝つ方が自分の仕事の能力を鑑みても向いていると思う場合は日本で働く方が条件が良くなるのではないでしょうか。

2022年7月23日土曜日

本からのメモ<自分の成長のキャリアにおける影響はキャリア中盤以降は限定的


 

今日は友人から紹介された本の内容を基に記事を書いていこうと思います。その本と言うのは、Great People Decisionsという本で(こちらが日本語版)、非常に良かったので読み進めるにつれていくつか書いていきます。なので、もしかしたら来週も続くかも(しれません)

さて、この本の中でキャリアを決める上で一番大切なことは運であると書いてあります。運はコントロールできないので他の四つの要素があると書いてあります。

  • Genetics: 遺伝
  • Development: 成長
  • Career Decisions: キャリアにおける選択
  • People decisions: 人選(ちょっと読み進めて訳変えるかも)
その中でも、キャリアのタイミングによって四つの優先順位が異なると書いてあり、
  • 遺伝はまぁ産まれるまで
  • 成長は生涯にわたって大切であるものの、特にキャリアの前半
  • キャリアにおける選択は20代前半まで
  • 人選はキャリアを始めたらこれが一番大切
と書いてあります。この 人生については、細かくは本を読んで頂くとして、タイミングによって異なるということが結構大切なのかなと思います。成長という点をもうちょっと掘り下げるともちろん、キャリアの成功のためには成長して、例えば資格を取ったり、知識を増やしたりということは大切であるものの、年齢と共に学ぶ能力というものは減少していき、学習し成長する事のコストと利益のバランスは徐々に変化しコストが増えていきます。

ここから自分の考える示唆なのですが、まず初めにとは言え成長を止めてはだめですよねってことです。呼吸みたいに当たり前に成長をしていくことは大切です。次に、この本が進める様に人選やキャリアの選択に集中していくという事も一つの正解だと思います。最後に思ったこととしては、成長や学習することを手段と割り切って、良いコミュニティで学習する機会をキャリアの途中でも探し続ける事が良さそうです。例えば、Executive向けのプログラムに参加をして学習を継続しつつ、より良い人と知り合い、人選である部分を伸ばしていくという方法を取ることで同時に伸ばせる要素があるんじゃないかなと思います。

来週も多分この本の内容について書きます。では良い週末を。

2022年7月16日土曜日

経歴を「盛る」ことの必要性と危険性


自分の実績を定量的、もしくは比較をして表現する(盛る)必要がある

英語のCVを書くトレーニングを受けた人は分かると思うのですが、達成した事を効果的に書くように言われる事が多いと思います。これは、嘘をつくのではなくより読んだ側が意味があると感じられるようにしっかり翻訳をしてあげるくらいな感じのニュアンスで思ってください。例えば、例を挙げると、

  • 週次の分析を行い、営業効率の改善に寄与
  • 300人の営業の活動分析により、15%の効率を改善し、30億円の売上向上
と2つの書き方を見ると圧倒的に後者の方が具体的で定量的だと思います。何か程度を表現したい時は定量化するか比較する事で効果的に書けますが、本日はどうやって表現するかではなく、どの程度まで許されるのかについて書いてみようと思います。

嘘は書いてはいけない
上記の例は自分の仕事をしている視座を上げて、定量化して説明する事で説得力を上げているかと思いますが、経歴を説明する上で嘘は書いてはいけないです。いくつか理由はあるのですが、LinkedIn等コミュニティが重要な現代において公式、非公式にレファレンスチェックといって実際の働きを確認する事は多いです。嘘はバレますし、入社後話した内容と同様の価値を提供できないとしたら良くないポジションに自分が立たされる事になるので、嘘は良くないです。また、マネジメント側からすると、嘘をつくような人物を改善する事は大変難しいので、入社後仮に嘘をついて希望のポジションについてもその先には進めず効果は非常に短期的でしょう。

誤解を招く事もいけない
時たまわざと誤解を招くような書き方をする人もいますが、最大限努力をして誤解を防ぐ努力は必要です。例としては
  • 経歴<XX大学AAコース、BBコース修士修了
  • 実際<XX大学AAコースサマースクール終了、BBコース修士修了 
というような例があったりしますが、いくら字数制限があったとしても見た人が誤解を持ちそうだなと思うような書き方は絶対しないようにしましょう。

スキル不足は改善の余地があるが、倫理面の課題は解決しにくい
スキルが足りない分はトレーニングや投資をする事で改善できますが、嘘をつかない等の信条に関しては変える事が難しいです。大切な事は嘘をつくような信条の人をチームに入れない事です。

2022年7月10日日曜日

大切な事は選択を迫られて初めて気が付ける


 
以前尊敬する人が、連絡がきた転職については、オープンな気持ちで必ず返事をして少なくとも検討するようにしているという話を聞いた事がありました。その方は新卒からその企業で働き重要なポジションについていた人で、おーそれは説得力あると思いつつ、心のどこかでただ単にそういって若手社員に良い影響を与えたいだけなんじゃないの?と穿った見方をしたりしていました。でも、今10年と少し働いた期間を重ねた中で結構正しかったんじゃないかなと思ってきています。

というのは、今までスイスの大学院で勉強する、アメリカで働く、シンガポールで働く事を選ぶ、今の会社に転職する、など大きな選択の瞬間を考えると何を選んだかと同時に何を選ばなかった事で自分が大切にしていた要素に気付く事ができたなと思っています。

今でも幸運な事に色々な案件でお話を頂く事がありますが、上記の尊敬する方と同様によほどひどくない限りは連絡が来た人の案件は少なくとも少しは聞くように心がけています。そうすると、稀に「面白そうだな」って思う案件があり、その心の動きを深堀りしてどういった事に今は自分を面白いと感じるだろうか?と客観視する良いきっかけになります。

同様に自分が何を大切だと思っているのか?について言語化がしにくい人に関しては、過去の大きな選択肢を並べて振り返ってみるのも良いかもしれないですね。

2022年7月3日日曜日

ヘッドカウントの増やし方


 

先週はヘッドカウントという概念について話をしましたが、今回はビジネスを伸ばす上で大切なヘッドカウントを増やす投資をどう勝ち取ってくるかという事について書いてみたいと思います。これもまぁ当たり前な話が多いんですが、パターンと各方法について気をつけないといけない事があると思ったのでまとめておきます。

パターン1: 前年からの年間計画

これはもうまっとうなパターンなのですが、一般的に3-5年先までの業績を予想して、それに合わせて投資計画も承認を得る事が多いです。そこで売上を伸ばす代わりに投資ももらうという一番スタンダードな方法です

パターン2: 年途中で高い成長を見せて余剰を使って自分でヘッドカウントを追加

例えば上半期で大変高い成長を達成して、目標となる利益を超えたリターンを出したとします。その超えたリターンを使って人員を追加するパターンです。ロジックとしては成り立つのですが、多くの場合はその高い成長を維持できる等の前提を置いたストーリーを示せないとなかなか難しい事が多いです。ヘッドカウントは永続的にかかってくる費用という前提になってくるので短期的に上がった利益をそのまま使うのは結構難しいんですよね

パターン3: 他の地域がうまく行っていない時に投資を取ってくる

マクロ要因によって他の地域がうまくいっていない時に投資を減らす事があります。ただ、そうは言っても投資家に対してそのままリターンが下がりますとはなかなか言いにくい訳で、他に成長の余地のある市場を探して投資をする事が多いです。社内の様々な動きからそういった要素を見つけて、うまく機会に乗って他の地域から投資を取ってくるという方法もあります。

と、色々とパターンを紹介しましたが、多くの場合そもそも高い成長を示していないと人員増化は難しい事が多いです。ただ、成長と投資は鶏と卵なので、小さいスケールで投資がうまくいく事を示し、そこから投資を引っ張ってくるって方法もあるんじゃないかなと思っています。

最後にヘッドカウントと書いていましたが、チームメンバーと話す際にはあまりその単語を使わないようにしています。ヘッドカウントという言葉が大変無機質な印象を与え、冷たい印象を与えるかなと思っているからなのですが、蛇足ですがこういう言葉一つ一つの使い方も大事にしていきたいですね。