2022年2月12日土曜日

高い給与=厳しい労働環境は大きな勘違い

先日何かのTweetで残業が多いけれど年収が高い仕事と残業は少ないものの年収が低い仕事のどちらが良いかというかというアンケートが流れてきて、いやいやそもそもそこトレードオフじゃないだろと思ったのですが、多くの人がそのトレードオフを認識しているようだったので、ちょっとそれはなぜなのかという事について考えて整理してみる事にしました。

0 前提
記事を短く書くために、賃金は生産能力によって規定されると大きく仮定を置きます。本当は業界の利益率だったり、被雇用者と雇用者の交渉力だったりによって大きく変わって来ると思うんですが、その辺りも含めて生産能力が一番大きい要因として整理をします。また、その考えそのものは、賃金はどのように決まるのか - 労働政策研究・研修機構 佐々木 勝(大阪大学准教授)を参考に書いています。

1 生産能力は個人の能力とレバレッジの掛け算
生産能力と言っても人は一人で生きている訳ではないので、多くの場合人に対して影響を与えて生産をしています。ただ、社会人最初の頃だったり、時間と価値が完全相関するような仕事をしている場合は、レバレッジが効いていないので自分自身の行動だけが生産能力になります。そうすると10時間働いている人が18時間働けるようになって二倍くらいまで生産能力が上がったとしてもつらい環境だしその辺で頭打ちです。

2 レバレッジのかける方向性はいくつもある
レバレッジといってもいろいろな方法があって例えば
  • リーダーとして組織を動かし数百人の団体として生産能力を上げる
  • 専門知識や優れたインサイトにより大きな組織を動かし生産能力を上げる
  • 資本の力を使って、より多くの人を動かしたり設備投資の結果生産能力を上げる
等が例として挙げられると思います。そうするとあくまで生産能力が上がれば良いので、別にその人の労働時間なんてあまり関係がなくなります。つまり極論をすると人や組織を引っ張れるのであれば、一日一時間だけ働いて必要な生産能力を発揮する事も十分可能です。

3 レバレッジを意識しないと泥沼
人間個人の能力というのは多くの場合少しずつ下がっていきます。体力もなくなり、筋肉も衰え、頭の回転も遅くなり、記憶力も悪くなっていきます。そうすると、個人のレバレッジの効かないがむしゃらで乗り越えてきた人はレバレッジをどうかけて良いか分からず、もう誰も色々と教えてくれないくらい経験や年齢を重ねてしまう事になります。

4 結局被雇用者はマネジメントかスペシャリストの方向性しかない
といつもと同じような結論になってしまうのですが、レバレッジをかけていこうと考えるとマネジメントとなって人や組織を動かしていくか、スペシャリストとなって専門知識やインサイトで示唆を出し組織を動かしていくしかなくなります。なので、どちらの方向に行きたいのかは早く自分で腹をくくって決める必要があります。

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