2021年4月25日日曜日

仕事だけを全力で頑張れる期間というのは限られている


この一年半と少しくらい以前よりもっと多くのチームメンバーをマネージする事になり、色々と考えてきた事があり、少し言葉にして残しておこうかと思います。ジェネラルマネージャーになってから、半年後にはCOVID-19の世界になったという影響もあるかもしれないのですが、レポートラインが少なかったときには気付かなかった皆の様々な事情に気付く事がありました。事情というのは、健康面、家族の問題、様々な事情だったり、人には色々な事情があるんだなぁと気付く事が大変多くありました。

自分も怪我をして仕事を休んだ事があるので多少想像していたのですが、それに加えて家族の介護だったり、子どもが生まれた場合は子どもへの時間の使い方が変化したりした結果、仕事だけに集中できる期間というのは限られているんじゃないかなと思うようになりました。

そうすると、一般的に10代、20代の方が集中できるタイミングなんじゃないかなと思います。健康的な問題は比較的少なく、家族の介護はまだ必要じゃなく、人生の複雑な問題も少なく、体力もある状態はそれくらいのタイミングなんじゃないかなと思っています。

なので、人生の時間が増えるにつれ問題が増えてくる事が一般的には多いので、今頑張れる人は頑張っておいた方が良いんじゃないかなという話でした。

2021年4月17日土曜日

フェルミ推定って意味あるの?





「地頭力」試すのは時間の無駄だった グーグル人事責任者、衝撃の告白

先日たまたまこんな記事を見かける事がありました。少し前の記事ではあるのですが、ざっくり言うと「地頭力を試す」という事は無駄だったとGoogleの採用の役員が発言したという内容でした。それをきっかけに色々な人が話をしていたのですが、職種や状況においては意味があると自分は考えているため少し書いてみようと思います。

結論から言うと、実際のビジネスに即した設問で、特定の目的であれば意味がありそう。だと考えています。具体的には、新規事業やビジネスデベロップメント等の職種や営業から営業マネージャーに職責が大きくなる人を見極めるという目的なら相当パワフルなツールだと思っています。この記事にあるような「ビル・ゲイツが浴室を設計するとしたらどのようなものか」みたいな奇をてらった問題にはあまり価値がないと私も思うので前提から外しています。

具体的に比較的身近な営業から営業マネージャーに上がる人を見極める手段としてのフェルミ推定を考えてみましょう。

例えば、「とある製品(繰り返し買う製品)を割引プロモーションをする事になった場合、どの程度割引するべきか」という論点に答える事になったとしたら

(プロモーションのコスト)=(失う粗利)+(宣伝のコスト)

(プロモーションのリターン)=(獲得顧客)✕(リピート率)✕(注文単価)✕(時間)

とざっくり計算して、リターンをモニターするためにそれぞれをKPIとして、想定より低い場合は各要素を改善するための打ち手を考える等の計算をざっくりして、実験をして確かめつつ数字を精緻化していくという事がサクサクできるかどうかというのは大切だと思います。現実のビジネスでは、それぞれの要素をセグメントに分けたり、より詳細化するとは思いますが、頭の中でざっくりこれくらいできないと営業として売る仕事からマネージャーとして施策を考え実施していく立場になる事は難しいと思います。

人によっては頭の体操くらいに思われがちなフェルミ推定ですが、今まで12年仕事をしてきた中で意外と使ってきているし、ちゃんと目的を決めれば意味があるんじゃないかなという事で書いてみました。

2021年4月11日日曜日

B2BビジネスのGMには営業の経験が圧倒的に有利

 

さて、先週までの家族とキャリアのバランスについて一段落したので、マネジメントになる上では営業の経験を積んだ方が良いんじゃないかなという話を書いておきたいと思います。

業界によって全然違う事が多いのですが、少なくとも私が働くメーカー系の多国籍企業においては、そうとう営業の経験が重視されてきます。考えると当たり前なのですが、ジェネラルマネジメントの最も大切な仕事の一つは、P&Lの責任を持って数字を達成する事です。そのためにはコストだけ削減してもだめで、営業チームを鼓舞し、リーダーシップを発揮し、売上を伸ばす必要があります。ただ、もちろん上記したように営業のチームが売らなくて良いような製品を作る事が最大の成功の要因になるような企業においては上記の限りではありません。

一個具体的な事例を紹介すると、とある小さい国の事業部長を誰にするか議論がありました。

Aさん:営業、企画→MBA→グローバル・マーケティング

Bさん:コンサルティング会社→MBA→アジア太平洋全体のマーケティング

二人共実績や人格等同様で並んでいたものの、一つ大きなタイブレーカーとなった要素は営業の経験の有無でした。二人共営業のマネージャーの経験はなかったのですが、営業マネージャーの経験があればあった方に圧倒的に有利で、Aさんは結果的に営業マネージャーの経験を得ることになり、その後更にキャリアを勧めていく事になります。

(ちなみに色々な事例を混ぜているので結果的に架空の内容です)

自分の話をしておくと営業の経験は今回のGMの仕事に就くまでは無くて、営業マネージャーも兼ねるくらいの大きさのビジネスを見ているのでようやくキャリアのスタートラインに立てたなと少し安心して、あとは結果を出すだけだなと思っています。


MBAを取ったり30代になってキャリアが進んでくるとそこから営業の経験を積む事はなかなか難しくなったりするのですが、営業の経験をちゃんと積んでおく事をぜひ検討してみてください。おすすめは20代に営業とコーポレート的な仕事の両方の経験を積む、もしくは、MBA後のローテーションプログラムで営業の経験を積めるような交渉をしておく事です。


と、色々と書いたのですが言いたい事としてはキャリアを上がっていく上で積んでおいた方が圧倒的に有利になる経験というものがあります。それを自分の将来就きたい仕事では何なのかという事を理解し、自分でキャリアをデザインして行きましょうという話でした。

2021年4月4日日曜日

続き】子どもがいる家族のキャリアや教育におけるロケーションの交差点


先週の記事で家族のキャリアや教育におけるロケーションの交差点という記事を書いたところ、意外と色々な人たちにコメントをもらったので子どもがいるバージョンも書いてみようかと思います。先週書いた内容は敢えて子どもがいない場合に限って書いていて、なぜなら子どもができると前回書いていたような色々な前提条件が変わってしまうことが多いんですよね。ということで、今回も事例を最初に挙げつつ、意思決定の基準になる論点とどういった事を話し合って行くのかについて書いてみようかと思います。


子どもあり事例1】

夫婦子ども5歳韓国在住。女性がシンガポールに駐在の際、男性だけ韓国に残り、女性と子どものみシンガポールへ。男性はリモート可能な仕事のため、月の半分はシンガポールより働く。住み込みメイドと共に生活。

子どもあり事例2】

女性はシンガポール勤務。男性は西ヨーロッパ勤務。シンガポールにて出産し。女性の両親をシンガポールに呼んで、女性、その両親、子どもの四人で暮らす。男性は二月に一度訪れる。現状は期限付きだとお互いに決めていて、次のステップを検討中。

子どもあり事例3】

男性は多国籍企業勤務で数年ごとに様々な国に異動するキャリアを希望し、事前に夫婦で話し合い済み。女性はリモートで働くための準備を数年前から仕込んでおき、男性のキャリアの変化と共についていき、現地で働く。子どもは保育園やパートタイムベイビーシッターを活用。

子どもあり事例4】

男性は米国に留学し女性は仕事を辞め一緒に渡米。その後男性は米国内で勤務し、その間に子どもが生まれる。女性はその場所で大学院に通い修士を得て、男性が国や都市を移動するたび、修士の専門性を活かし仕事を続けるものの、やや女性側のキャリアはゆったり目。


論点1: リードキャリアは一人?二人?

子どもができてしまうとこの論点が圧倒的にリードキャリアは一人になる例が多いのですが、こちらを考える必要があります。二人でリードキャリアの場合、ロケーションを変えるポジションを提案された時にかなり大きな意思決定が生じます。


論点2: 家族住むのは同じ場所?

リードキャリアが二人の場合は、家族全員で一緒に住むことが短期的にしろ難しくなってくる事があります。なぜならキャリアを求めていった結果、ロケーションも変えて仕事をする事は非常に多い事。ロケーションを変えないと意思決定をするとリードキャリア100%と言えなくなるからです。また、例えばリードキャリア一人だったとしても育児のサポートを得られる場所が例えば実家だったとした場合非リードキャリアの人が離れて住んで育児をする事も十分にあり得ます。


論点3: 外部サポートはどのくらい得られるのか?

外部サポートというのはここでは、家族以外の育児を手伝ってくれる手段を指しています。例えば、親、親戚、コミュニティ、ベビーシッター、住み込みメイド、保育園等が挙げられます。東京であれば、親のサポートを受けつつ二人でリードキャリアを続けられる場合や上の事例にあるように他の国で働いていても親を呼び寄せてサポートを受けつつ一緒に育てていく方法もあると思います。また、国によって可能不可能があるのですが、香港やシンガポール等の育児からすぐに復帰する文化があるところでは、住み込みのメイドを雇う事ができて生活をしていく事も多いようです。


家族で話し合っておく事

  1. それぞれのキャリアの方向性
  2. 組み合わせを考えた時に家族としてどの形が最適か
  3. 片方が妥協をすることになった時にどの程度の期間なのか
  4. 子育てのサポートを得る手段は何があるのか
以前聞いたのですが、こういった内容は普段なかなか会話の中に登る事がない可能性があるので、敢えて時間を作って、ちゃんと話し合う場を定期的に作っていく必要があると思います。上記の例に挙げた友人家族は、家族会議と共に議事録も取っていました。

人生完全な正解はないし、色々な想定をしても想定外な事も多く起きる事が人生ですが、それでも家族で納得感を持って最大限の幸福を得て暮らしていくために色々なパターンを知って考えていく事が良いですよね。