2023年2月18日土曜日

合理的な意思決定には創造性が必要



   前回までは組織行動学における動機付けの話をしましたが、集団における個人の意思決定も組織行動学の中では大事な学習すべき項目の一つです。その集団における個人の意思決定を分解した項目が組織行動学の中にはあります。「組織行動のマネジメントー入門から実践へ スティーブンPロビンス」から抜粋して私が改変したものなのですが、合理的な意思決定においては、上記の三つの要素が大切になってきます。

   専門能力の要素とは専門能力をベースにして初めて創造性が発揮です。守破離という概念と同じなのですが、専門性を突き詰めて能力を磨いていくことで箱の外で考えられるということだと思っています。基礎がなければ形無しになります。次はそういった専門能力を鍛えたり貢献したいというガソリンになる内発的タスクモチベーションです。こちらはある対象が興味深い、惹きつけられる等を感じる気持ちです。そういった二つ同じレベルの要素として、創造的思考能力があります。創造的思考能力とは創造性と関連あるパーソナリティ特性、累進能力、見慣れたものを違った角度か見られるといった能力が創造的思考能力です。

   理想的には、問題を査定、判断基準の特定、創造性を用いて代替案の作成、代替案の評価、実行とプロセスが必要なのですが様々な事情から書いたように意思決定できることは多くないでしょう。だからこそ基本に立ち返って三つの要素を使っていくことが大切だと思います。

2023年2月12日日曜日

動機付け理論シリーズ4 目標設定理論と徹底的なサポート

 

   さて、引き続き動機付け理論シリーズなのですが、今回は目標設定理論について書いていきます。「目標設定理論」とは、目標が人のモチベーションに及ぼす効果について着目した理論のこと。1968年に米国の心理学者エドウィン・ロック氏が提唱しました。本人が納得している目標に関して言えば、曖昧な目標より具体的で測定可能な目標のほうが、また、簡単に達成できる目標より難易度の高い目標のほうがモチベーションを高め、高い成果をあげることがその理論の概要になります。こういった理論は多くの企業で仕組みとして導入されている年初の具体的な目標設定を行い、年末にレビューするスタンダードな方法で実施されている場合が多いと思います。ただこういった目標を設定していても、実際はなかなか年初に決めて年末まで特に何も行われないという事が多いんじゃないかと思います。そういった事を防ぐために自分がしてきたいくつかのことがあります。そのいくつかを今日は書いていきます。

   まず、目標設定は自分から作ってもらう、もしくは少なくとも一緒に作っておくことでオーナーシップを持ってもらいます。ちょっと営業のチームメンバーについては目標の数字はトップダウンで決まる事が多いので難しいとは思うのですが、非常に大切な事なので可能な限り時間を使って本人に納得感がありオーナーシップを持ってもらえるような目標設定にします。また、その目標設定もSMART等のフレームワークを使って本当に具体的になっているかを確認していきます。これ本当全て満たそうとすると本当労力が要ります。次に作って放置されては意味がないので事前に定期的に目標への進捗のミーティングを行います。自分の場合はだいたい毎月一回くらい議論をしていました。
   また、こっちが大切だと思うのですが、チームメンバーが目標達成をするために必要なサポートは本当なんでも行う事です。言う事は簡単なのですが、例えば自分の場合だったら案件をクローズするためにキーパーソンと会う時間を作るため夜中まで客先で待ったり、チームメンバーだと話す機会を取りにくい比較的ポジションの高い人に対して自分がアポを取る事で案件をスムーズに進めたり、必要なツールを提供したり、予算やリソースを社内から取ってきたりなど、本当に何でもしてきたと思います。自分がチームメンバーの目標達成に対して本気であり、助けを求めて良いとチームメンバーが理解し始めると好循環が回ってくると思います。このサポートをするという事は本来ならチームメンバーに対し能力の点において上位互換だとよりサポートしやすいのですが、ジェネラル・マネージャーになってからは営業以外のチームもマネージしているためサポートの方法を考えて工夫する必要が出てきました。この辺の上位互換ではない部門へのサポートの方法はまた別途。という事で今回は動機付けシリーズその4でした。

2023年2月5日日曜日

動機付け理論シリーズ3 そもそもの心構えについて


   前回、前々回と動機付け理論について書いてみましたが、先週こういう動機付けからのマネジメント理論って学べるけど、あんまり有効活用できていない例もありますよねっていう話になったので、それについても少し書いてみようかと思います。学べるけど、マインドセットが必要だよねって話について。

   少し書きましたが、People managerには向いている人と向いていない人がいて、論理やトレーニングによってある程度は鍛えられるものの限界があります。では、何が必要なのかという点について複数点書いてみようと思います。

人に対する興味、好奇心

そこまで難しい話ではないのですが、人に対してこの人はどういう人なんだろう、どんな良い面があるのかな、どういうことを大切にしてるんだろうといったようなという人に対する単純な興味がない人がいます。例えば、何かの知識にその興味が向いてたりするのですが、そういった人は専門職でチームメンバーのマネジメントを最小限にしつつ価値を出していくのが良いでしょう。

人の感情を察知できる力

次に相手がどういったことを考えているのかということについてもある程度察知できる必要があります。力関係が存在した場合は特に正直に言ってくれないことが多いので非言語的なコミュニケーションがある程度できないと難しいと思います。

定期的に自己認識を更新していける心の強さ

こちらが本当は一番難しいと思っているのですが、常に様々なフィードバックから自己認識を更新して、コミュニケーション方法や自分自身をある程度調整していく必要があります。そのためには自分のどこが良くないのか、どう改善したら良いのかという点について見つめて受け入れる必要があります。そういったことを進めていく胆力が必要になってくるでしょう。

と、三点書いてみましたが、動機付け理論を勉強しようと自分で思うような人には多く問題はなくて、なぜか自信満々だったりそもそも興味ない人がそういったポジションに就いた結果問題が生じたりしますよね。ではでは。

2023年1月30日月曜日

動機付け理論シリーズ2 マクレランドの欲求理論

   さて、先週に引き続いてマクレランドの欲求理論について説明していきます。先週書いた内容はいわゆる古典の理論だったのですが、現代の理論についても書いていきます。ちなみに現代のモチベーションの理論は本当たくさんあって、違いがうまく分かっていなくて、もう一段勉強が必要かなと思います。でも、今分かってる範囲で書いていきます。

   マクレランドのモチベーション理論は、個人の特定のニーズが時間の経過とともに形成され、個人の経験や環境によって形成されるということを示しています。理論は、3つの核心的なニーズを特定します:達成、所属、および権力。達成需要が高い人は成功を追求し、挑戦的だが達成可能なタスクを好む傾向があります。所属需要が高い人は社会的な接続や人間関係を求めます。権力需要が高い人は他人を影響し、環境をコントロールしたいと願っています。

   実際の使い方としては以下のようなものが紹介されていますが、個人的には自分の内面を見るときに使うのが良いんじゃないかなと思っています。

  1. 従業員の評価:従業員のニーズを評価することで、彼らのモチベーションを理解し、彼らの仕事の責任を彼らの強みに合わせて調整する。
  2. チームビルディング:チームメンバーのニーズを理解することで、リーダーは効果的に一緒に働くことができるより適したチームを構築する。
  3. パフォーマンス管理:従業員の達成、所属、および権力の需要を認識することで、マネージャーは個人にとってより意味のあるよりモチベーションを高めるフィードバックを提供する。
  4. キャリア開発:理論は、従業員が自分のモチベーションを理解し、自分のニーズに合ったキャリアを見つけるのを助けるために使用する。
  5. 報酬と認識:従業員のモチベーションを理解することで、組織はより効果的な従業員のモチベーションを高める報酬と認識のプログラムを作成する。

   自分の内面を見るとは、上記の3つのモチベーションを読んで、自分にとって何が大切なのか、それを冷静に分析する事でより満足がいくキャリア選択ができると思っています。ただし、自分がどういったモチベーションを持っているのかを冷静に見極める事は難しいと言うか、受け入れる事が難しいのでこういったツールで自問自答する事でより良い選択ができてくるんじゃないかなと思っています。


出典:組織行動のマネジメント―入門から実践へ スティーブン P.ロビンス (著), 髙木 晴夫 (翻訳)

2023年1月22日日曜日

動機付け理論シリーズ1 ハーズバーグの二要因理論


   最近、Organizational Behavior と呼ばれる学問についてさらっと説明する機会があり、自分でも結構ビジネスの現場で使っているなぁって思ったことがあったのでまとめておきたいと思っています。動機付けといえば、マズローの欲求のピラミッドが有名なのですが、そちらは動機付けの理論の古典的なもので、現在は理論の証明としては不十分と言われることが多い様です。今回はその同じ古典的な動機付け理論の中でハーズバーグの二要因理論を紹介したいと思います。
   ハーズバーグの二要因理論とは人のモチベーションをモチベーターとハイジーンファクターの二つに分けて議論しましょうねって話になります。マズローの分類で言うと、上の方が前者で下の方が後者になります。前者によって、モチベーションは高まり、後者はそもそものモチベーションを高めるための最低限が満たされてないといけないよねっていう話です。マズローの階層でも良いといえば良いのですが、人と話したりしている時に五つあるものを思い出して整理したりすることは面倒なので、誰かと1on1をしたりしているときなど、何かモチベーションを高くできる方法はないかな?不安だったり何かマイナスの要素はないかな?もしマイナスの要素があるならどうやったら減らせられるかな?とか心に論点を持ってコミュニケーションを行ったりします。
   古典的な動機付け理論としてはもちろん否定されている面もあるかもしれないですが、いざ誰かのモチベーションを高くしないといけないってなった時にシンプルで簡単なものから始めるのが良いのではということで今回の理論シリーズの1回目を書いてみました。ではでは。

参考資料:【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ 単行本 – 2009/12/11  スティーブン P.ロビンス  (著), 髙木 晴夫  (翻訳)

2023年1月15日日曜日

振り返りは大事。でももっと大事なのはどう行動を変化させるか。


   このブログもそうなのですが、極力時間がある時に自分の振り返りを日々つけるようにしています。Evernoteでまとめて書いていたのですが、時間がある時に振り返ると自分の考えていた事やその時からの進歩を知る事ができて、気に入っています。ただ、忙しくて大変なときほど学びが大きいにも関わらず、つい書けなくなってしまうのが難しいところです。口頭でタクシーに乗っている間に書いたりしていましたが、なかなか難しいですね。

   さて、それとは別に最近Organizational behavior について深く理解をしていく経験がありました。OBにおいては、個人、集団、組織と小さい順に学んでいく事が一般的なのですが、その中の個人の章の心理学の中で大変興味深い単語に出会いました。それは、学習という単語なのですが、辞書的な単語ではなくOBの文脈(というか多分心理学かな)において、は学習とは「経験の結果として起こる行動上の絶え間ない変化」と定義されています。最初はフンフンとただ読んでいたのですが、自分の振り返りや毎年必ず参加する勉強のプログラム等を考えると本当にその結果自分の行動が変化しているだろうかと自省する機会になりました。この学習の時間の結果、自分の意思決定、行動がどう変化するのだろうか。それを心において今年も学習を重ねていきたいと思います。今週は2泊でシンガポールとアメリカを往復したので、これくらいで。

2023年1月7日土曜日

倫理的な基準は明文化しておく


   最近、とある経歴を見る機会があってその中に、「○○という選択肢もあったものの選ばずに」といった表現を見かけました。まぁ本当大したことない話なのですが、自分の中ではこれはまぁ好ましくない表現だなと思い、ついでに今回は倫理的な基準を明確化しておくことでいざっていう時に助けになるんじゃないかという話をしたいと思います。
   以前のBlogの記事でコンプライアンスの失敗は取り返しがつかない事が多いという内容を書いたのですが、コンプライアンスや倫理的な失敗はキャリアに与えるインパクトが非常に大きいです。日々のちょっとしたことから、意図的な大きな失敗まで様々なことがありますが、自分自身で基準を決めて、律することで多くの場合は防げることができるんじゃないかと思います。もちろん、各企業はコンプライアンスの基準を明確にしていて、分厚い資料が多くの場合あると思います。明文化しておくというのは個人のためにそういったものを用意しておくわけではなく、原理原則を明文化しておきましょうっていう話です。
   意思決定のタイミングとはポジションが上がるにつれ突然かつ頻繁に訪れるようになります。なので明文化しておいた方が良いよねって話なのですが、実際にギリギリを経験してみないとそういった危機感や当事者感がなかったりする分野でもあります。なので、おすすめとしては、周りのボスや尊敬できる人などに倫理的な基準をどうしているのか聞いてみたり、自分の行動をちゃんと振り返る時間を使って、学びつつ進めていくということが現実的な解法になってくると思います。ということで今日の内容はバックボーンとなる倫理の話でした。