2023年5月28日日曜日

発散思考と収束思考


   さて、前々回はCritical thinking/ Creative thinkingについて、前回はどうやってCreative thinkingを鍛えるのかについて書きましたが、今回はその別の言い方とも言える発散思考と収束思考について書いてみたいと思います。
   自分が考える問題解決においては、原因究明において発散後収束、解決策策定において発散後収束という二回のフェーズがあると考えていて、前半は発散なのでCreative thinkingが鍵になってくると考えています。具体的に書くと、現状の問題がある中で本当の問題を考えたり、問題の原因を幅広く見るためにブレインストーミングをしたりというフェーズは発散思考で、その後真因となる重要な要因に収束していく。その収束フェーズにおいてはCritical thinkingによって不要な要素を切り落としていく。問題解決のフェーズにおいても一回幅広く解決策を考え収束して打ち手を絞っていくという方法が適切だと思っています。
   さて、その発散思考といった時にどういった要素に分解されるのでしょうか。ここでは4つの要素に分解して書いてみようと思います。
  • Fluency: どれだけ多くのアイデアを出せるか
  • Originality: どれだけ他の人と違う珍しいアイデアを出せるか
  • Flexibility: どれだけ多いカテゴリのアイデアを出せるか。メガネの使い方を考えた時、ものを見ると火をつけるだと違うカテゴリになると思います。
  • Elaboration: どれだけ深いアイデアを出せるか。

こういった視点によってCreativityの解像度を上げていくことで発展させやすくなるんじゃないかなと思います。

様々な方法によってCreativityを高める

   さて、先週は移動日と少し怪我をしてしまったために一週間飛ばしたので今週は二個記事を書いて補充していく予定です。先週はCreative thinkingとCritical thinking の両方を持つ事が問題解決につながるという話をしていたのですが、そのCreative thinkingの中でも発散思考を高めるための方法を一つ紹介したいと思います。

   その方法はAUT: Alternative Uses Testと呼ばれるもので、例えば上記のクリップの使う方法を制限時間内にできるだけ多く考えるテストがあったりします。これは実際に授業で行ったのですが、大人が真剣になって答えを考える様子がとても印象的でした。このセッション自体を楽しくかつトレーニングにもなる有効な方法だと思います。

   その他の方法としては、3つほど紹介すると(なお、それぞれちゃんとエビデンスもあります。)

  • Guided Fantasy: 特定の状況を設定してその状況の詳細を思い出すようにする。(Garfield et al 2001)
  • 散歩する: めちゃ単純ですが、本当有効で証明されているようです(Oppezzo & Schwarts, 2014)
  • 子どものように考える: 例えば上記のAUTとかも子どもの方が思考の制限がなくて本当得意なんですよね。子どもだったらどう考えるだろうかと考えてみるという方法にも一定程度根拠があります。(Zabelina & Robinson, 2010)

なお、個人的に最も大切な事は諦めずより良い答えを出し続ける事だと思っています。例えば、疫学の半分近くのRejectされた論文は二年以内にPublishされているというデータがあり、ビジネスに当てはめすぎるのは危険ですが、諦めない事で思考の幅を広げるクリエイティブさを得られるんじゃないかなと思っています。

2023年5月13日土曜日

ビジネスにおけるCreative thinkingとCritical thinkingの必要性

   最近、Harvard Medical Schoolのプログラムで医療関係者向けにリーダーシップを教えるという授業に出ています。その中で、Creative thinkingの大切さについて疫学の研究者の人が教えてくれる授業があり、今まで意識して来なかったCreative thinkingの大切さに気がついたのでここで書いておこうと思います。
   その授業の定義によると、“Creativity is seeing what everyone has seen, and thinking what no one else has thought” とAlbert Einsteinの言葉を引用しています。(ちなみに、アインシュタインはこういう名言が本当多くて、そんなにたくさん本当に良い事を言ったのだろうか?まぁ天才らしいしそうなのかも?とちょっと思っています笑) つまりは、皆と同じものを見て違う事を考えるという事が大切だということです。今まで自分にとっては問題解決とは構造化して分解して答えを探すという「硬い」方法が多かったものの、その答えを探す段階でのアイデア作りにおいては、敢えて一回クリエイティブな方法に振った方が良いんじゃないかと考えるようになりました。
   授業で習った内容を基に整理してみると下記のような2つの役割がCreative thinkingとCritical thinkingについてあります。
  • Creative thinking: アイデアを作る
  • Critical thinking: アイデアを整理する
そして、その2つの合わさったところが問題解決であるというのがその先生の考え方でした。今までクリエイティブというといわゆる広告代理店とかそういった人たちがするものとどこか距離を置いていたのですが、定義をし直して考えてみると自分にとってもう少しCreative thinkingを取り入れていく事に価値があるんじゃないだろうかと思ってきています。
   ってなわけでしばらくCreative thinkingについて何回かに分けて書く予定です。

2023年5月6日土曜日

定期的な棚卸しは良いマネジメントへの近道

   新卒時代、数年間マネジメントコンサルティング会社で見習いとして働いた経験があります。その当時、先輩から「一週間に一回振り返り、学んだことをスライドにまとめると良い」とアドバイスを受けたことがありました。残念ながら、忙しい仕事を理由にその習慣を身につけられなかったのですが、今では毎週欠かさずブログを書くことで、時間はかかりましたがそのアドバイスを実践できていると感じています。
   このブログで書いている内容は、自分の学びを抽象化し、フレームワークやチェックリストにまとめているつもりです。私はフレームワークやチェックリストが万能だと信じています。それらは日常生活のあらゆる場面で役立ちます。繰り返し行うことについては、すぐに参照できるようにEvernoteのお気に入りに保存しています。また、より抽象的なことについても、概念的な注意点を作成しています。私がフレームワークを万能だと考える理由は、うまく解決できない問題がある場合でも、常に更新していくことで問題に対応できるようになるからです。
   定期的に棚卸しを行うようになってから、人からの相談やチームメンバーへのコーチングに対して、より適切なアドバイスができるようになったと感じています。その理由は、過去の問題とその解決方法を抽象化し、フレームワークやチェックリストにまとめているからです。自分が身につけたスキルや知識を抽象化し、言語化してチームメンバーに伝えられるようになることで、より良いマネジメントに近づけるのではないかと思います。