2020年12月26日土曜日

キャリアのピボットの例1)キャリアから日本の縛りを無くす方法

 



先日、シンガポールにすでに住んで働いている日系企業で働く人から相談を受けました。今は、日系企業で特に英語を使う訳でもなくシンガポールで働いているものの、長期的に自分で自分の生きていく場所を選べるようになりたいという事で、現実的にどんな方法がありますかねって事で、プロセスを考えてみました。駐在員の人でたまに長期的に海外にいるのに言語も特にできるようにならないという人の話を聞いて、驚く事があったのですが、ロケーションだけ海外で社内のコミュニケーションも日本語ってなるとこういう事態が起こるのかもしれませんね。

以前のBlogで、キャリアは少しずつピボットしていくのが良いよねって話をしたのですが、その時の内容を踏まえた上で、書いています。すごく乱暴に軸を切っているのですが、付加価値をどう出しているのかという点と企業そのものが日系かどうかという点において分けています。


四象限あるのですが、相談してくれた人の目的は自分で選択できるようになる事という事だったので、選択肢の多さ等を考えると右下の日本以外の事で付加価値を日系以外の会社で出す事が良いだろうなと仮定を置いています。(もちろん日系企業を渡り歩く事だって比較的可能だとは思います。)


左の枠にある駐在員は、比較的自分でコントロールする事が難しく、日系企業の現地採用は比較的給与が控えめなところが多いです。また、右上の非日系企業は日本関連で付加価値を出すという事なので、そういうポジションがあるロケーションが限られてくると思います。金融だとシンガポール、香港、一部欧米の大都市くらいでしょうか。そして、長期的に日本経済の縮小の影響を受け、小さくなっていくパイを取り合う戦いしかする事ができない可能性が高いです。


そういった要素を考えた時に、まずは付加価値を日本関連以外で出してみる。もしくは、外資に一旦勤務してみて、文化に慣れ信頼を築き上げてから次のステップに移るという選択が一番合意的な選択肢になると思います。


という事で、ピボットの例一個挙げてみました。上記の例が必ずしも誰にでも良いという訳ではないですが要素に分けて、少しずつ自分の理想に向かっていくピボットは有効な方法だと思います。

2020年12月19日土曜日

30代中盤以降もファイティングポーズを維持し続けよう

 

働き始めてから概ね10年くらい合計で経っているのですが、周りを見ていると20代の頃はファイティングポーズを取って、一緒に頑張っていたのに気が付いたら、「あれ?同じようなパッションを持っている人じゃなくなったのかもしれないな」と思う事がたまにあるようになりました。


ファイティングポーズを取るって書いてあるのはすごく曖昧なので、言語化してみると目標を下方修正して現状から簡単に想像できる範囲に着地させようとする事と目標の達成のための研鑽をやめる事とここでは言語化しておきます。

例えば、スタートアップで事業を立ち上げて社会を変えると言っていた人が片手間でやっていたはずのコンサルの方がメインになってしまってフリーランス化したり、プロフェッショナルファームでパートナーまでのし上がると言っていた人が同じようなファーム間を同じようなポジションで回遊したりしている事とかはそういった例だと思います。

これはもちろん悪い事ではなくて、人生の価値観は変化するものだし、本人が幸せだったらそれについてどういう言うつもりは全くありません。

観察できる範囲で理由を考えてみると、
  • 環境の変化: 家族の介護、本人の病気等で維持する事が困難になった
  • 価値観の変化: 家族ができたりして、満たされたり優先順位が変わった
  • 自身の能力に対する認識の変化:自分の能力が高くない事に気が付いた
  • その他:そもそもファイティングポーズを取っていなかった
というような事があると思います。

と色々書いてきたのですが、本当に書きたかった事は、意識高いって言われても、無謀って言われても、自分の能力を疑いそうになっても、もし自分にとっての目標があるとしたら、諦めないで泥臭く継続して研鑽していく事で今後も差別化になっていく可能性が高いから諦めるのやめようよ。っていうところです。

変化のスピード時代が早くなって来ている世の中で、自分自身をそれ以上のスピードで変化させていく必要があり、多くの人が諦めがちだからこそ、一度振り返って2021年の目標を設定する良い機会だと思ったので、あんまり深く考えずにTweetした内容をBlogにしてみました。


2020年12月13日日曜日

常に学ぶ側の立場にいる事の大切さ


 

高校や大学の時にリーダーシップとかリーダーとかって聞くと、権力を握って全てを決めて率いていくみたいなイメージを持っていたのですが、少なくとも自分がマネジメントとして出している価値はここの記事で書いてあるように以下のものになります。

  • 意思決定をする
  • 優先順位を付ける
  • 仕組みを作る
  • キャリアにおいて適切な機会とコーチングを提供する
  • リソースを確保する
  • 適切な論点を投げかける
もう使い古された表現なのですが、イメージとしては下記のようなイメージが近く、いわゆるServant leadershipと呼ばれるものが自分の選んだリーダーシップスタイルです。


ただし、実際の構造上色々な権限を持つ事、自分の性格上うまく行っている時は調子に乗りやすい事などから、仕事以外において常に何かを誰かから教わる立場でいる事を大切にしています。意思決定において一番陥ってはいけないと思っているのは自分が正しいと思い過ぎてしまう事だと思っていて、多分概ね正しいと心の中で理解しつつ、チームメンバーに対しては自信を持ってコミュニケーションを取る事が大切だと思っています。

例えば、自分の場合は週二回シンガポール国立大に学生として通いCSの勉強をしていたり、毎日中国語の勉強、週六時間近くテニスの練習をしたりしています。テニスとCSは今年から本格的に始めたためもう本当初心者ですし、CSではたまに大学生未満の知識すら忘れていて、自分の無力感を味わう事も多いです。ただ、こういった「自分は学ぶ立場である」と無力感から感じる事は自分が調子に乗りすぎないために大切だと思っていて、今後も常に何かを学びつつ謙虚になるような習慣を重ねて行く予定です。

2020年12月5日土曜日

雇用契約における交渉 交渉編

という事で前回に引き続いて、交渉編を書いていきます。本当は、個別に色々色々あるのですが、とりあえずざっくりとした内容を書いておくとこんな感じです。

心構え
1. 事前の優先順位を常に忘れない
2. 橋を燃やさない
考え方
3. 金銭、有形、無形に分けてゼロサムでない部分を探し、トレードオフを取る
4. 交渉の要素にどうにかロジックを付ける
最後に
5. 口約束は可能な限り言語化して落とすようにする 

という事で一個ずつ
1. 事前の優先順位を常に忘れない。
こちらは、前回の準備編にも書いたのですが、仕事選びはあくまで手段でその結果何かを達成する、もしくは達成に近づくというものであるべきだと思っています。ただ、交渉を重ねたりオファーをもらえた高揚から本来の目的を見失ってしまう事が多くあると思います。なので、必ず見返して各ステップごとに確認をすると良いと思います。そのためにも言語化は必要ですね。

2. 橋を燃やさない
今後長く働いていく中で、目の前の交渉相手が将来の同僚、上司、もしくは間接的に様々なところで関わってくる事が必ずあります。そこを忘れずに、しっかりと人間関係を構築してそれを長期に維持できるくらいのスタンスを持つようにすると良いと思います。たまに忘れているような人がいて、本当に大切なので一応書いておきます。目の前の数百万円なんかよりよほど信頼や信用の方が大切です。

3. 考え方
金銭: 基本給、ボーナス割合、サインオンボーナスなど
有形: 車や社宅の支給、医療保険、家族への手当など
無形: タイトル、勤務体系、休暇の日数、競業避止義務競業避止義務の期間など
大きく3つに分けて考えられるのですが、それぞれゼロサムである場合とトレードオフの価値が違う場合があります。
例えば、金銭(基本給)はゼロサムで片方がプラスになるともう片方がマイナスになる事が多いです。なので、ここに関しては相当強いロジックを準備する必要があります。
次に有形・無形の部分ですが、会社によっては給与と違って柔軟に対応できる可能性があります。具体的には給与は人件費だけれども、福利厚生は別の予算で管理されていたりして扱いが違う可能性があります。結果的に、給与を上げる事は難しいけれども、手当を増やす事はそこまで大きな問題ではないという会社側の判断ができる事があります。そうすると、受け取る側からしたら、結局金銭的なメリットとしては同じなので片方が手に入れるものと片方が失うものの影響が異なります。こういったようなトレードオフのインパクトが違う要素を対話の中で探り、交渉していく事が近道だと思います。詳しくは、ハーバード流交渉術(名前怪しいですけど良い本ですよ。英語はGetting to yes。)を読むと詳しく書いてあると思います。

4. 交渉の要素にどうにかロジックを付ける
これもう本当当たり前なんですが、いかにうまくロジックを付けるかが大切だと思います。例えばなんですが、経済成長の高い国から低い国に社内異動がある場合に契約を見直すとします。そういった時にその期の多くの時間はもともとの国で過ごしていたので、少なくとも次に給与を見直す時はもともとの経済成長が高い国の給与の伸びをベースにして欲しいという主張はそれなりに理にかなった主張だと思います。ただ単にもっと給与を上げて欲しいというよりベンチマークを置いて説明できるのでより説得的です。

5. 口約束は可能な限り言語化
さて、もろもろ交渉が終わって最後の詰めです。交渉の中でいくつかの内容は口約束で伝えられる事があると思います。例えば、留学費用を将来的に負担するとか、パフォーマンス次第で給与を上げるとかが挙げられると思います。そういった事で伝えられた内容無かった場合に契約に合意をしないようなディールブレイカーだった時はそれを契約に言語化して盛り込んでもらいましょう。もちろん全てが盛り込めるとは思えないですが、ここで詰めを甘くした結果数年頑張ったのに欲しかったものが手に入らないといった事態を避けられると思います。また、準備編で話をしていたように弁護士や他社の人事の信頼できる人に確認してプロセスの仕上げです。