2020年12月5日土曜日

雇用契約における交渉 交渉編

という事で前回に引き続いて、交渉編を書いていきます。本当は、個別に色々色々あるのですが、とりあえずざっくりとした内容を書いておくとこんな感じです。

心構え
1. 事前の優先順位を常に忘れない
2. 橋を燃やさない
考え方
3. 金銭、有形、無形に分けてゼロサムでない部分を探し、トレードオフを取る
4. 交渉の要素にどうにかロジックを付ける
最後に
5. 口約束は可能な限り言語化して落とすようにする 

という事で一個ずつ
1. 事前の優先順位を常に忘れない。
こちらは、前回の準備編にも書いたのですが、仕事選びはあくまで手段でその結果何かを達成する、もしくは達成に近づくというものであるべきだと思っています。ただ、交渉を重ねたりオファーをもらえた高揚から本来の目的を見失ってしまう事が多くあると思います。なので、必ず見返して各ステップごとに確認をすると良いと思います。そのためにも言語化は必要ですね。

2. 橋を燃やさない
今後長く働いていく中で、目の前の交渉相手が将来の同僚、上司、もしくは間接的に様々なところで関わってくる事が必ずあります。そこを忘れずに、しっかりと人間関係を構築してそれを長期に維持できるくらいのスタンスを持つようにすると良いと思います。たまに忘れているような人がいて、本当に大切なので一応書いておきます。目の前の数百万円なんかよりよほど信頼や信用の方が大切です。

3. 考え方
金銭: 基本給、ボーナス割合、サインオンボーナスなど
有形: 車や社宅の支給、医療保険、家族への手当など
無形: タイトル、勤務体系、休暇の日数、競業避止義務競業避止義務の期間など
大きく3つに分けて考えられるのですが、それぞれゼロサムである場合とトレードオフの価値が違う場合があります。
例えば、金銭(基本給)はゼロサムで片方がプラスになるともう片方がマイナスになる事が多いです。なので、ここに関しては相当強いロジックを準備する必要があります。
次に有形・無形の部分ですが、会社によっては給与と違って柔軟に対応できる可能性があります。具体的には給与は人件費だけれども、福利厚生は別の予算で管理されていたりして扱いが違う可能性があります。結果的に、給与を上げる事は難しいけれども、手当を増やす事はそこまで大きな問題ではないという会社側の判断ができる事があります。そうすると、受け取る側からしたら、結局金銭的なメリットとしては同じなので片方が手に入れるものと片方が失うものの影響が異なります。こういったようなトレードオフのインパクトが違う要素を対話の中で探り、交渉していく事が近道だと思います。詳しくは、ハーバード流交渉術(名前怪しいですけど良い本ですよ。英語はGetting to yes。)を読むと詳しく書いてあると思います。

4. 交渉の要素にどうにかロジックを付ける
これもう本当当たり前なんですが、いかにうまくロジックを付けるかが大切だと思います。例えばなんですが、経済成長の高い国から低い国に社内異動がある場合に契約を見直すとします。そういった時にその期の多くの時間はもともとの国で過ごしていたので、少なくとも次に給与を見直す時はもともとの経済成長が高い国の給与の伸びをベースにして欲しいという主張はそれなりに理にかなった主張だと思います。ただ単にもっと給与を上げて欲しいというよりベンチマークを置いて説明できるのでより説得的です。

5. 口約束は可能な限り言語化
さて、もろもろ交渉が終わって最後の詰めです。交渉の中でいくつかの内容は口約束で伝えられる事があると思います。例えば、留学費用を将来的に負担するとか、パフォーマンス次第で給与を上げるとかが挙げられると思います。そういった事で伝えられた内容無かった場合に契約に合意をしないようなディールブレイカーだった時はそれを契約に言語化して盛り込んでもらいましょう。もちろん全てが盛り込めるとは思えないですが、ここで詰めを甘くした結果数年頑張ったのに欲しかったものが手に入らないといった事態を避けられると思います。また、準備編で話をしていたように弁護士や他社の人事の信頼できる人に確認してプロセスの仕上げです。

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