2020年9月26日土曜日

システマティックな社内政治


 

今日は社内政治についてちょっとまとめてみようと思います。社内政治とかって聞くとすごく嫌な印象があって、自分もそれは同様なのですが、捉え方を変えるだけで意味が違ってくるなと思うことがあったので、その変化の経験も含めて書いていきます。


社内営業って結局は、自分の目標達成のためのツール

上にも書きましたが、社内営業って聞くだけで、引いてしまったり面倒だと思ってしまう人がいるかと思うのですが、自分のキャリアや社内の仕事の目標を達成するために必要なツールだと考えてみるとちょっと見え方が変わるかもしれません。例えば、営業のプロセスにおいて顧客の組織構造、意思決定、キーパーソン等を理解して適切にコミュニケーションを行うことは営業の技術の一つですが、それが社内も含めて営業をするという考えもありだと思います。

実力があれば社内政治なんて要らないという声も理解はできますが、マネジメントになった以上独りよがりの実力がどうとか言って時間を無駄にするなら、自分のチームのために社内も営業して回っていくという方が健全なのではないでしょうか。

また、社内の面白いプロジェクトの機会を誰に任せるかということを決める意思決定者がその人の事を知らなかった場合、当然知っている人より優先順位が下がります。フェアに評価すべきという事はもちろんそうですし、フェアな評価の仕組みを導入する事は大切です。ただ、マネジメントになったのであれば、どう認識されるかまで考えて行動していくべきではないでしょうか。


社内政治もシステマティックに行うことが可能

・ステークホルダーマップを作り、各個人を理解する

まずですが、自分の目標に向けて、どういう人が意思決定に大切なのかを整理してみます。この際そもそも自分の目標が決まってない人は、仮でも良いので一旦決めて動く事を進めます。仮に決められない事は思考停止だと思うので、それくらいの気概で決めて、必要な人をリストアップしていきます。この時、組織図を使って整理してみるのも良いかもしれません。また、各個人がどういう人(ざっくりカテゴライズしておくと良いですが、そのカテゴライズは別途)で、何を大事にしているかを普段の会話から理解しておくと良いです。


・目的を達成する上で、誰にどういう状態になる必要があるのか確認する

次に誰にどうなってもらいたいのかを整理してみます。気をつけておかないといけないのは、つい役員クラスばかりに目を向けがちですが、例えば隣の部門のやや上のポジションの人とかが強く反対した場合、自分に不利に働く事があります。それを考えると

a) 強く推薦してくれる必要がある人

b) 推薦しないまでも誰かが推薦した場合、サポートしてくれる人

c) 反対しなければ問題ない人/ 知ってくれれば良い人

くらいに分けて、それぞれ濃淡をつけておくのも良いと思います。


・自分の仕事が各ステークホルダーにどう役に立つのか考え、適切にアピールする

それから、自分の仕事の成果が各ステークホルダーにどう役に立つのか、また、どのようにコミュニケーションするのが最適かを考えます。この時、2つの事が大切だと思っていて

a) 社内政治をしていると思われないようにアピールをする

b) あくまで自身の成果を適切に伝える事が大事

ここのa) b) で不自然さや失敗をしていて、悪い印象を持たれてしまう人が多い気がするのですが、成果を拡大させて伝える必要はなくて事実とデータから、またちゃんと文脈に乗って説明すべきだと思います。ネットワーキングに関して、 

" If others think you are networking, you are doing it wrong." 

という言葉があるように社内政治も社内政治をしているなと思われては駄目です。


・もし直接関わりがない場合は追加のプロジェクトを職務範囲外でも引き受けて何か貢献をする

最後に、ステークホルダーを整理してみたものの、そこまで関わりがない場合があると思います。そういった場合には、例えば自分のスキルを活かしてその部門に何か役立つ事をしたり、追加でプロジェクトを引き受けてみて、何か関わりを持つ機会、可能なら役に立てる機会を増やしていくと良いでしょう。例えば、エクセルが得意な人だったら、色々な部門対象にエクセルトレーニングを引き受けてみて、その打ち合わせで話をするとかそういった方法でも良いと思います。


さて、色々整理してみましたが、マネジメントになってくると結果責任が大きくなっていき、そのために社内政治でも何でも必要ならやって価値を出していく人は価値があると思っているので、嫌だなと思わず時間を使ってみる事をおすすめします。

2020年9月18日金曜日

Feedbackの受け取り方について


 先週はFeedbackを与える側として、今自分が考えている事を書きましたが、今回はより難しいFeedbackの受け取り方について書こうかと思います。


今回の内容では、一旦いくつか方法をまとめて、それから別の回にでも、それぞれの方法をどう有効活用するかについて書こうかと思います。


なぜFeedbackを受け取る事が重要かという理由について先に書いておこうと思います。前回の記事で、自分の気付いていない部分について気付けて改善ができると書きましたが、マネジメントポジションになるとその重要性が増してきます。なぜなら、自分の権限が増えるためボスにFeedbackをもらう頻度はやや減り、権限が大きくなるのでチームメンバーから自分に対するFeedbackが難しくなることが理由です。そんな中で、自分はどうやってFeedbackをもらっているのか、他にどういう方法があるのかについて書いておこうかと思います。


そもそもの話として

なぜFeedbackをもらう必要があるのか、またその人からもらう必要があるのかという事を自分で深く理解する必要があると思います。Authenticity と表現されるものですが、翻訳すると真摯な態度を持つとかっていうところでしょうか。薄っぺらくなんとなく皆Feedbackが大事って言ってるからやってみるかという態度だと相手に対して絶対に伝わるため、そこを自分自身でしっかりと理解する必要があると思います。Authentic であることはleadershipの要素の中でも大変大切な要素です。


誰からFeedbackをもらうのか

結論から言うと皆からもらいましょうって話だと思うのですが、その中でもいくつか分けてみようと思います。

  • N+1(ボス)
  • 外部
  • チームメンバー


N+1は定期的(自分の場合は、三ヶ月に一度)時間をセットしておく事が大切だと思います。性格にもよりますが、特に言う事に関して懸念はないので、簡単に言ってくれると思います。ここは簡単なところ。

次は自分がそれなりに能動的に動かないといけない外部です。自分の場合は、外部メンターにお世話になる事とleadership coachを時間単位で雇って話しています。外部メンターについては、吉澤さんのこのNoteが非常に良いと思ったので、読んで見る事をおすすめします。自分も今まで一緒に働いた人たちにメンターになってもらったりしています。
とは別に、非常にパワフルだと思うのが、leadership coachです。自分の場合は大学院で実際に知っている人を雇っているのですが、現状の課題から具体的なアクションまで一緒に議論して決められる事は非常に価値があります。自分の場合は、匿名でチームメンバー一人一人の事を共有し、自分の考える課題、どういう行動を取るのか、どういったコミュニケーション方法を心がけるのか等について話したりしています。

さて、最後に一番重要なのに難しく自分も苦戦しているのですが、普段のFeedbackとワークショップ等を実施するFeedbackに分けて書きます。
前者の普段のFeedbackについてなのですが、最近知人が良い本を書いたので、下記の本を参考にすると良いと思います。先に書いたようにチームメンバーからFeedbackをもらうためには、メンバーから言っても問題ない。言っても安全であると思ってもらえる事が大切です。そのための大きな要素として、最適な本だと思います。心理的安全性のつくりかたを自分で読んでみましたが、様々な取り組みが書いてあり、自分でもできる範囲で少しずつ試していける長期的に付き合っていける本だと思いました。
次にワークショップなのですが、こちらはFeedbackのためだけの時間を作るため心理的安全が仕組みとして担保できます。以前、行ったワークショップは結構有効で、下記のようなものでした。
  • leadershipや影響力についてのレクチャーを外部人材や社内の人事等のスタッフから1時間程度全員で受ける
  • その後、ボス(自分)は部屋から出ていき、皆で予め用意された質問に関してそれぞれ言っていく。例えば、下記のようなもの
    • What do you like about your GM?
    • What do you not like about GM?
    • What do you want your GM to continue?
    • What do you want your GM to stop?
    • Please write any questions that you want to ask your GM.
  • ボスが返ってきて、その質問を全員に見せながら一個一個コメントや質問に対して答えていく。
こちらは結構有効な方法で、特に新任のタイミングで行うとより有効だと思います。

最近、シンガポール、フィリピンに加えて、マレーシアの責任を持つ事になりましたが、上記の方法を少し変えて
  • 付き合いがそれなりに長いシンガポールのチームからFeedbackをもらう
  • そのFeedbackをそのまま新しいチームに対して共有する
  • 同様に新しいチームから質問を集めて一つ一つ答えていく
という方法で実施予定です。常にFeedbackを受け、行動を改善し、変化していく事が自分の価値だと思っているので、このFeedbackをどう受け取るのかは今後も考えていきたいと思っています。


2020年9月12日土曜日

Feedbackをする時に気をつける事

 


以前プロフェッショナルとマネジメントのキャリアがあると書きましたが、マネジメントとしてのキャリアを進めていく上で、とても重要になってくるFeedbackについて自分の現時点での考えをまとめておこうかと思います。多分数年後には違う事を言っていると思うので、あくまで現時点版。



さて、ちょっと自分の事を振り返ってみると、Feedbackについて人生で一番考えたのは、IMDでMBAに通っていた時だと思います。IMDはleadershipに重きを置くカリキュラムであり、そのleadershipの発展は、自分を理解することから始まります。その自己を理解する上でよく使われるのが上のフレームワークです。この中で、他人は知っているものの、自分は知らないという点について知る事ができる方法は唯一他者からのインプット、特にFeedbackが大切になってきます。


マネジメントの仕事においては、チーム全体のパフォーマンスを高めて行く事が自身のパフォーマンスであり、Feedbackによりコミットメントを高め、行動に影響を与える事ができます。特に、VisionとFeedbackは密接に関係していて、双方一貫性をもってコメントをしていく上で、Visionを浸透させ、文化を作っていくための大事な行動の一つだと理解しています。


良いFeedbackというものは、何を始めて、止めて、続けていく事が明確になり、同時に関係性が悪くならない事が大切だと思っていて、そのために以下の事を気をつけてFeedbackをするようにしています。

  • PIN: Positive Interesting Negative の順番に話す
  • 感情的にならず個人攻撃や人格を否定せず、特定の行動や仕組みのついて指摘する
  • Visionやコーポレートカルチャー等を引き合いに出して、指摘の理由付けにする
  • ジェスチャーに気をつける。

PINの順番に話す
誰でも開口一番改善点を指摘されたら、嫌な気持ちになって聞く耳を持たなくなります。また、特に自分が選んだチームメンバーであれば、だめなところだけしかない人なんていないでしょう。なので、必ず良い点を指摘して、これは続けて欲しいと伝えます。そこから、順番に話して受け入れられるように話の持っていき方を考えていく必要があると思います。

感情的にならず個人攻撃や人格を否定せず、特定の行動や仕組みのついて指摘する
Feedbackはちゃんと思慮深く行う必要があるので、ちゃんと問題を切り分けて特定の行動やそれを起こしてしまった仕組みについて説明をするようにしています。
例えば、
You didn't provide sufficient information. 
という風にYouと人を主語にしてしまうとどうしても人格否定になってしまう印象があるので
Your email didn't contain sufficient information. 
といったように行動の結果についてコメントする事でやや受け入れやすくなるでしょう。
また、もしかしたら原因はシステム、プロセス、仕組みに原因がある事も多いと思います。その場合、マネージャーである自分の責任なので、そこは自省する良いきっかけでもあると思います。

Visionやコーポレートカルチャー等を引き合いに出して、指摘の理由付けにする
こちらは、大阪でスタートアップをしている信頼している友人から教わったのですが、例えば良くないなと思う行動があった時に、明文化したカルチャーのどれかに反する事を伝えると、背景、会社としてどういうあるべき像を持っているのか等説明し、より説得力を持って説明できると思います。これは聞いた時個人的には一番刺さっていた事で、これを大切にしていく予定です。

ジェスチャーに気をつける
これは中々自分自身を見る機会がないかと思いますが、座る位置、話し方、表情等で言う事は同じでも影響力は違ってくると思います。例えば、オープンな気持ちで話していると言うのであれば、ジェスチャーもオープンに手を広げる等意識する事も大切だと思います。可能なら同意を取って一回録画してみたりするのも良いかもしれませんね。


1 on 1 をチームメンバーとする事はもう多くの会社でしているかと思いますが、その中でチームメンバーのパフォーマンスを最大化するために、Feedbackを有効にしていきたいですね。

今回の記事を書く上でIMDのleadershipの授業の資料を大変参考にしました。この場を借りて資料をくれた現役IMDの方にはお礼を申し上げます。

2020年9月5日土曜日

N+2 (ボスのボス)と話す時ってどういう話をするの?



最近色々と組織変更があり、ボスのボスがアメリカと欧州以外の全ての責任者をしている人になりました。そんな中で毎四半期一回キャッチアップをする事になったのですが、今までの五年間は大ボスも物理的に近くにいるか、ある程度信頼関係をすでにできている状態で、大ボスができたため感覚的にコミュニケーションしていたのですが、最近できた大ボスは違う大陸にいます。当分物理的に会う機会も無さそうなので、改めてどうやってコミュニケーションをしていこうかなと考えたので、半分自分のために整理して共有してみたいと思います。


そもそもN+2とはどういう人なのか

  • 部門間や研究開発等に影響力を持つ
  • ただし、現場に出る機会がないためそれなりに現場の事を知りたいと思っている
  • 数千人単位でチームを持っているため、将来のタレントパイプラインの責任者である

読んでいる人のポジションにもよるのですが、まぁ、多くの部門に対して影響力があって、社内のスタッフのキャリアに関して大きな影響を与えるくらいの人であるという前提で話をしていきます。もし日系企業等で多重な階層のある人は対象外なので、適当に翻訳して読んで下さい。


どういった事を話すべきか、また話したあと何をするか

  • N+1に対し、十分情報共有をする
  • 現場の状況について手触り感のある情報を共有する
  • 大きな経営課題について現場の視点で伝える
  • 自分のチームの成果について少し話す
  • 長期的なキャリアを共有しアドバイスをもらう

と、書くとまぁ普通の事なのですが、少しずつ気をつけている事を付け加えていきたいと思います。

  • N+1に対し、十分情報共有をする
自分のボスに対して、事前にどういうことを話す予定で、終わったあと数行のサマリーをぱぱっと送るようにしています。N+1からするとボスなので、どういう事を話したか気になると思いますし、N+1とN+2は自分とのミーティングについて多少は触れる機会があると思うので、そこで一貫性を持っている事はチームとしてちゃんと機能している事を示す事でもあると思うので、これを必ず実施するようにしています。また、N+2と話す中でN+1への信頼や良い点をさりげなく話の端々に入れますが、これはN+1に対しては共有しないようにしています。

  • 現場の状況について手触り感のある情報を共有する
N+2くらいにポジションが上がると現場での状況等が手触り感を持って分からない事があると思います。N+1は実際のオペレーションのチームを見ていない事が多いので、事業を毎日回しているGMのポジションの自分がささっと最近の大きなトレンド等を伝えるようにしています。

  • 組織の構造上の問題や大きな経営課題について現場の視点で伝える
現場で実際に困っている事で、それが自社の構造的な課題(N+2くらいのポジションの人が考えるに値するくらいの課題)がある場合は、伝えます。

  • 自分のチームの成果について少し話す
そこまで前のめりにアピールする必要はそこまでないですが、「チームとして」何を達成したのか淡々と事実を述べる事は大切だと思います。また、その時に自分の成果として話す事は未熟な事の証だと思うので、チームとして話すようにしています。実際マネジメントポジションになったらチームの成果も失敗も全て自分の成果です。わざわざ、"I managed to....." みたいな話方で何かを伝える必要は本当無いと思っています。

  • 長期的なキャリアを共有しアドバイスをもらう
それなりのポジションについている人なので、組織全体のタレントパイプラインや後継者育成をについての責任者でもあると思います。また、同時に自分よりキャリアの先を行く先駆者でもあるので、様々なアドバイスをもらうようにしています。最近、キャリアについて伝えたり質問したりした内容は下記の通りです。
  1. 長期的なキャリアについて説明(忘れられないように毎回言う)
  2. リーダーシップコーチを雇っているものの、何について議論して発展させるべきか
  3. 数年後を考えた時に、自分が積むべき経験
特に3については、アドバイスをもらった後、抽象化しておくと、将来社内で良さそうなポジションを見つけた時にN+2のアドバイスを一貫しているためN+2のサポートが得やすくなります。

と、まぁ書いてみるとそんなに突飛な事を書いているわけでもないですが、半分は自分の普段の行動の言語化、さらにそこからの発展なので、こういうのはどうだろうとかメッセージ、Feedbackをもらえると助かります。