2020年6月27日土曜日

CEOに早くなった人たちの傾向



「Keni君に必要な次のキャリアは、People managerとP&L managementの2つで、どちらかに必ず近いと思える選択肢を選んでいった方が良いよ」
シンガポールの和風の中華を出すお店で紹興酒を空けながら、多国籍企業で事業部長を勤める一回り年上の先輩に言われて、その時は「そうなんですよねー」と相槌を打っていただけだけれど、今思い返すと本当適切なアドバイスだったなと今でも思い出します。

キャリアは当然誰もがうまくいくわけでもなくて、飛び立つ人もいれば、少し時間が掛かる人もいるし、キャリアから降りてしまう人もいます。そんな中でCEOに早くなった人たちというのがいて、そういった人たちはどういう道を歩んだろうと興味があったので調べてみました。

HBRのThe fastest path to the CEO jobという記事が10年に渡って該当する人たち(以降Sprinterと呼びます)を研究してその結果をまとめているので、紹介したいと思います。

1. Go Small to Go big
60%以上のSprinterがより小さい規模の仕事を経験しています。同じ会社で新しい部門の立ち上げや小さい会社に移ってより大きい責任の規模のポジションについている事が多いようです。前回の記事はここからヒントを得て図示したものです。

2. Make a Big Leap
三分の一以上のSprinterたちがキャリアの最初の十年で大きな変化を経験しています。大きな変化とは、今まで経験したことないようなポジションだったり、自身が自信を持ってできると確信できないポジションをリスクを取って経験しているという傾向があるようです。

3. Inherit a Big Mess
30%以上のSprinterたちは大きな問題を抱えた組織を引き継ぐいわゆるターンアラウンドを経験しています。混乱や失敗の後などの状況においては強いリーダーシップが必要で、状況を落ち着いて分析し、プレッシャーを感じつつ意思決定をして、リスクを取っていく事が必要になります。こういった経験がCEOになるための準備期間となっていくのでしょう。


1.の小さくても良いから、ポジションを取るという事は結構大切だと思っています。
矛盾するようですが、同様のキャリアを考える人へ何度かアドバイスしている事は、GMになるためには、まずGMになるべきという事です。何を矛盾した事を言っているのかと思うかもしれないですが、多くの場合経験者から採用される事は事実です。なぜなら、経験者は良くも悪くもその仕事ができる事を証明してきているからです。

なので、3つのポイントを意識しつつできるだけ、早くGMに、それが難しい場合は、P&L, People responsibilityどちらかがあるポジションを取る、が一つの解かなと思っています。

2020年6月21日日曜日

Professional or Management 続き

先日、ProfessionalかManagementかどちらかのキャリアを選ぶべきという記事を書いたのですが、ちょっと分かりにくいかもしれないと思ったので、簡単な図にして説明をしてみる事にします。

こちらの図は、横軸に権限の大きさ、縦軸にビジネスの大きさを図にして各点をポジション、矢印を推移として出しています。スタート地点は左下です。大きく言いたい事としては

1. 意思決定をしない立場のアドバイザーの経験を積み重ねてもビジネスサイズが大きくなったところで、マネジメントの方向性につながる訳ではない。
2. ビジネスサイズを小さくする代わりに権限を大きくするというトレードオフをして、自分を証明していく事でキャリアを進めていく。


1. に関してなのですが、広義の意思決定を助ける仕事、例えば経営企画、ファイナンス、戦略、外部のコンサルタント、等のチームにいる仕事は全てアドバイザーとしてこの中では捉えています。そして、そのアドバイザーの仕事がマネジメントとしての仕事に経歴として評価される事は少ないと思っています。理由としては、意思決定をする仕事と助ける仕事は性質が違うこと、結果経験を評価する事が難しい事が理由としては大きいと思います。

ありがちな落とし穴は、そのままアドバイザー的なポジションで昇進し続けて収入が上がった結果、生活レベルを下げられる事ができずにマネジメントトラックに進めないという事態があります。なので、マネジメントトラックに進みたい人はできるだけその方向に進む必要があると思います。そのためのトレードオフであれば、長期的には還ってくると信じて、会社の知名度が低い会社だったり、収入が下がる事を取ってでもマネジメントトラックに近い方を選ぶ事を勧めます。

また、一社目の同期がアメリカのB2Bの企業で戦略の仕事をしていますが、昇進しすぎてマネジメントトラックに行くことが難しくならないようにしていると言っていたので、こういう事が背景にあると思います。

2. はそれほど難しくないのですが、各ステップごとに質的に求められる要素が大きく変わってくるのでこのポジションを挙げてみました。厳密にはSenior managerとかDirectorとか色々とあると思います。

Manager: People managerとして今の機能の範囲内で、人を通じて結果を出す
GM: 自分の専門の機能以外のマネージャーを管理して全体を通して結果を出す
(ここからはちょっと私がまだ思考の整理ができてないです)
GM of GM: GMを管理する立場になる。リソース配分等が大事になる。
CEO: 投資家コミュニケーションや国等を巻き込んで仕事をする必要が出てくる。

と、色々書いてみましたが、実は右にそのまま進むよりもショートカットする人は左上から右下にシフトする人もある程度いる人がいる事は事実です。
下記にショートカットする人たちはどういう要素があるかどういう環境かをまとめてみました。

会社からの評価が高い
  • 経営幹部育成プログラム等で採用(MBAや元コンサル等で見ます)
  • 幹部候補として採用(スタートアップにある怪しげな採用ではないやつです)
  • 強みやバックグラウンドが大きくフィットした場合
会社がリスクを取りやすい
  • 新しいビジネス/ 子会社等を立ち上げ(社内にエキスパートがいない)
  • ターンアラウンド等社内がやや混乱状態にある
  • 小さい国(東欧、東南アジア、等)
実際自分も上記のような事を意識して今のGMのポジションを取ってきたと思います。
という事で今回はマネジメントとプロフェッショナルの続きを書いてみました。




2020年6月14日日曜日

General Managerという仕事


 さて、新米GMとタイトルに書いていますが、General Managerとはどういう仕事なのかという事について、少し今回は整理してみたいと思います。

ここで、一つ引用をすると
general manager or GM is an executive who has overall responsibility for managing both the revenue and cost elements of a company's income statement, known as profit & loss (P&L) responsibility. A general manager usually oversees most or all of the firm's marketing and sales functions as well as the day-to-day operations of the business. Frequently, the general manager is responsible for effective planning, delegating, coordinating, staffing, organizing, and decision making to attain desirable profit making results for an organization (Sayles 1979).
ざっくり訳すと、GMとは売上とコストの両方へ影響する責任を持つ仕事であるという事になっています。では、責任範囲とは具体的にどういったものがあるのか整理してみたいと思います。




Value Chainと各タイトルにおける責任範囲
R&D
Manu-facturing
Operation
Marketing
and
Sales
Finance
Customersupport
RA/QA
Sales director
Expense only
Business Unit Director
General Manager (Local)
General Manager (Global)/
Division president


ポジションの呼び方と責任範囲は会社によって違うだろうし、Value Chainの中も会社によって違う事は当然ですが、一旦こういう形でイメージを持ってもらえると助かります。


会社によって、GMと言いつつSales Directorと変わらなくない?というポジションもたまに散見されますが、上記の定義に従うとLocalくらいからぎりぎりGMと呼んでも差し支えないのではないでしょうか。実際に今自分のポジションはここになります。

また、キャリアの先人たちの言う事を聞く限り、5億円くらいのP&Lの責任を持つGMと100億円くらいの売上責任を持つGMでは本質的には仕事は変わらないと認識しています。


 では、今まで上記の事を書いたGMをGM 1st phaseとすると、さらに質的変化が起こるGMはどこでしょうか。GM 2nd phaseとはGMを複数人マネージするようになった時、GM 3rd Phaseとは、さらにR&Dも含めて事業のポートフォリオ・マネジメントを行うようになった時、GM 4th phaseは投資家へ向き合いコミュニケーションをするようになった時だと今は思っています。この辺はまだまだ先なのですが、一旦整理はここまで。

2020年6月6日土曜日

Professional or Management


「まぁ、プロフェッショナルになるか、マネジメントになるか、マネージャーくらいで終わるかのどれかしか道はないよな。」と新卒の時から尊敬する業界同期(注1)が言ったのを今でも覚えています。

注1)新卒はマネジメントコンサルで働いていましたが、入社前からコンサルタントと呼ばれる人たちは横の繋がりが相当強いです。皆気が付いたら色んな方向に突っ走ってて本当刺激を受けます。

上記の言葉を聞いた時は、まだその時はそこまで明確に考えてなかったのだけれど、MBAを卒業して一年目が終わるくらいにマネジメントとしてキャリアを進んでいく方向に腹をくくり、Managementとしての仕事を進んで以降と決意しました。

Professional or Managementと言ってもざっくりしすぎてると思うので
話をわかりやすくするために非常に簡単に整理してみたテーブルを作ってみました。
もちろん最終的には、ManagementはManagementという専門性だろうと言われたらまぁそうなのですが、あくまでキャリアの方向性を考えるための助けとしての整理として理解して頂きたいです。


ProfessionalManagement
スキル専門性リーダーシップ
チームの数少ない多い
管理する機能特定多機能横断
例(ジュニア)Business development staffSales manager
例(シニア)CFO
Management consulting Partner
BUD
CEO


ここで言いたい事としては、この2つの方向性を大まかに意識してキャリアを積み上げていった方が効果的で、途中でこの間を行き来する事はハードルが高いという事です。
例えば、コンサルタントとしてパートナーまで登った人がそこから急に大きな組織のマネジメントをする事は難しいし、社内のSupply Chain Management のエキスパートだった人が部門長(BUD)等のポジションに行く事は難しいと思います。

理由としては、Management職は営業も含むPeople managementをできる必要があり、そこがある程度経験を要する事、また、そもそも企業側がP&Lを管理した経験のない人に対して任せる事は稀だからというスキル、需要両方の観点があります。

だからこそ、どちらかは早く選んだ方が良いのではないかと考えています。MBAに行って、無難にマッキンゼー、BCG、ベイン等のコンサルティング会社に行く事は良いものの、Management側に行きたいと思うのであれば、タイミングを適切に見計らって卒業していく事を検討する方が良いと思う。
(MBA後のコンサルティング会社をいつでるべきかは興味がある人がいたら、色んな人にインタビューして書く予定)

どれくらい早く選ぶことが大切という事に対する認識は、給与カットを受け入れたり、(いわゆる)会社のネームバリューが下がったとしても早く行きたい方を選んだ方が良い。マネジメントにいつか行きたいと思いつつ、プロフェッショナルでそこそこ進んでしまって、手遅れになってしまった例をたまに見かける(注2)

注2)手遅れと言っても、給与カット等をすれば問題ないものの、プライドが邪魔したり、給与が高くなり過ぎていて、その選択肢が実際には取れない例という意味

また、もしマネジメントトラックに移ろうとしている人がいるなら、People managementとP&L responsibilityとMultifunction managementがポジションを精査する大切な軸になると思います。
People management: 何人のどういった人材をマネージするのか
P&L responsibility: 何に投資をしてどう戦略を実行していくらリターンを期待するのかを人員も含めて決められる権限があるのか
Multifunction management: Managementとして上がっていくのであれば、営業、マーケティング等だけを見るセールスマネージャーではなくてSCM, CS, Ops等を管理していく必要が出てきます。

ここに書いた内容はややスタンスを取りすぎた内容ではあるものの、少しでもキャリアを考えるきっかけになってくれれば良いなと思います。

このBlogについてと自己紹介


「前回はマーケティングディレクターのポジションのお誘いだったけれど、今回はベトナムのGMのポジションとして来て欲しい。シンガポールに在住のままでも構わない。」
と、会社を辞めていったボスと定期的なキャッチアップでランチを食べている時にボスからお誘いがありました。

「うーん、もしかしたら香港で新規事業を立ち上げられるかもしれないから、それは受けられない」とその時は答え去ったのですが、紆余曲折を経て二年後の現在は彼のチームの一員として、シンガポールを含めた4ヶ国のGeneral Managerの仕事を勤めています。

今はようやくGM Trackと呼ばれるキャリアの階段を登れるようになったのですが、そこまで真っ直ぐ来られた訳ではないです。振り返ってみると現在の自分が手にしたものの多くは、適切なタイミングと内容を適切な人から頂き、多くの運とタイミングが合わさって得られたものだと本当に思います。

GMの仕事をするようになってもう少しで一年になる中で、楽しい事、苦い事、驚く事、様々な事があり自分が現在進行系で学んでいる事を共有する事には意味があるんじゃないかと思ってこのBlogを始めました。GMと言っても自分の中では、キャリア中盤のよちよち歩きくらいの認識なので、先を歩いている人からすると笑ってしまう内容も多いかもしれないですが、5年後自分で振り返った時に、こんな事で悩んでたのかと思う内容でも良く、また、同じようなパッションを持つ人に対して少し助けになったら良いなと思ってこのBlogを書いています。

さて、簡単な自己紹介として、まずキャリアの面から。
  • 日本の国立大学の歯学部を卒業。歯科医師免許は一応取得
  • 外資系マネジメントコンサルティング会社の東京オフィスへ就職
  • 国内で転職して、外資系の企業でマーケティング
  • スイスのIMDというMBAに進学
  • 米系企業のリーダーシッププログラムに選ばれ、ボストンのGlobal HQにて就職
  • その後シンガポールに異動して、APAC HQでマーケティング
  • シンガポール国内で転職し、冒頭の仕事を現在実施中
プライベートの面は以下。
  • スキューバダイビング大好き
  • 一児の父
  • 毎日運動していて、年間2,500kmくらい走る
  • 水泳も走るのも好きだけれど、自転車はやらない
  • 料理と美味しいものを食べるのも好きだけれど、グルメというほどではない

最後に、このBlogの対象となる人なのだけれど、日本から海外に出ていきたいと思っている人で多国籍企業のキャリアを考える人、特にマネジメントとしてキャリアを作っていきたい人になります。下記のような事は全くカバーできないので、対象外です。
  • ベンチャー企業について
  • 日系企業について
  • 日本国内でのキャリアについて
また、あくまで自分の考えた事なので間違った事もあるだろうし、まぁこんな事を考えてる人もいるんだなって事でお願いします。

Keni