2023年11月27日月曜日

自信という概念の粒度を上げてみる

   先日友人のPodcastを聞いていたら、自己効力感という事について話をしていました。あー、自己肯定感とは頻繁に言うかもしれないけれど、自己効力感ってあんまり使わないなーという話になり、Self esteem, Self efficacy, Self confidenceの三つって英語では結構分けて使われるよねって話になって、とても興味深く運転しながら聞いたので今回はその話を書いてみようと思います。
   まず辞書的な意味でのそれぞれの差を書いてみます。
自尊心(Self esteem):
自尊心は、自分自身の価値に対する一般的な感覚を指します。これは自分自身をどのように評価するか、自分が価値のある人間であるという感覚に基づいています。

自己効力感(Self efficacy):
自己効力感は、特定のタスクや状況をうまくこなす能力に対する自分の信念です。これは、特定の目標を達成するために必要な能力を持っていると感じる程度に関連しています。

自信(Self confidence):
自信は、自己の能力への信頼感を指します。これは、自分のスキル、能力、判断に対する信頼と自信に関連しています。

以前のBlogで自信について書いた事があったのですが、自分なりの定義は、a) 過去の経験から与えられる確信と b) 自分自身の将来への期待を割り引いて、a) + b)として足したものという風に理解をしていました。b) の話ってなかなか出てこないんですが、これって結構分けられると思っていて、過去やった事ない事で過去からの延長線上にない事でも自分ならできるだろうって思う事があると思うんですよね。そして、そういった気持ちがないとある程度のリスクが取れず停滞してしまうような気がしています。また、もう一個別の考え方としては過去実際にしてきない事でも抽象化してメタ認知することでそれを自分のスキルと解釈して過去の延長線上に乗せるっていうのも一つの方法かなと思います。ちょっと書き散らしみたいですが、頭を整理したかったのでとりあえずこんな感じで。

2023年11月20日月曜日

明確な役割を持つ人とそうでない人

   クロスファンクショナルチームが成功を収めるためには、チーム全体の方向性の確立、効率的な作業分担、そしてメンバーのモチベーション向上が一般的には不可欠だと思います。はじめにその内容について説明しつつ、最後に実は明確な役割を持たない人が大事だということも書いておこうと思います。

1. 方向性の確立

まず、明確な目標があることでチーム全体に一貫した方向性が生まれます。例えば、製品開発チームが「1年以内にユーザーフレンドリーな新製品を市場に投入する」という明確な目標を持っている場合、デザイナー、エンジニア、マーケティング担当者など、異なる背景を持つメンバー全員が、共通の目標に向かって努力することができます。この共通の目標があるために、個々の作業が大きな絵の中でどのように機能するかが理解しやすくなります。

2. 効率的な作業分担

次に、各メンバーの役割が明確であると、作業分担が効率化されます。例を挙げると、あるチームプロジェクトでマーケティング担当者は市場調査を、エンジニアは製品開発を、そしてデザイナーは製品デザインを担当することになります。このように、各自が得意分野に集中することで、重複したり無駄な努力を避けたりすることができ、全体の作業効率が向上します。

3. モチベーションの向上

最後に、個々の役割が明確であると、メンバーは自分の責任範囲内での成果を明確に認識しやすくなります。たとえば、エンジニアが特定の技術的問題を解決した場合、その成果はチームの目標達成に直接貢献していることが明らかです。このように、自分の努力がチームの成功にどのように貢献しているかを知ることで、メンバーのモチベーションが大いに高まります。

と、教科書的なことを書きつつ、実は大事だなと思うのが明確な役割を持っていない人(プロジェクトマネージャーでも良いです)で手を動かせる人が必要だと思っています。変化の大きいプロジェクト等を行っているといくら責任を明確にしたところでこぼれてくるタスクが存在してきます。そういったときにそこを拾って前に動かせる明確な役割を持っていない人を敢えて設置することが大切だなと思っています。

2023年11月6日月曜日

手に入れられなかったメリットを実感する事は難しい


    最近もオンラインオフラインに関わらず、様々な人から相談をもらう機会があり、色々と自分も考えさせられる事が多いのですが、その中で話してて伝わらないなぁって思った事があり、それについて少し書いてみようかと思います。

   自分に相談に来る内容はキャリアだったり、留学だったりという相談内容が多いのですがその中で、説明をする時に「〇〇という選択肢には〇〇というメリットがあって、そうするとこんな良い事があると思うんだよね。」というような話をした時に、「あー、でもそれって今の状態でも困ってないんですよねー」という話をされたりした事がありました。その場は、もうちょっと細かく事例を挙げたりして説明したらもっと伝わるかなと議論したりしてみたのですが、なかなかうまく伝わらない事がありました。説明の方法が悪かったのかなと思って、まぁここは要反省かなと思っていたのですが、ここ最近匿名質問箱であるQuerieからアメリカに留学しなかった事を後悔したりしてますか?という質問が来ていて、あー、これ自分が逆の立場になったんじゃないかなと思わされました。ぱっと出てきた答えは今の自分の選択に満足しているし困っていない。でも、選ばなかった人生でのメリットって究極的にはわからないんだなぁと色々なプライドとか減ってきた今だから気が付く事ができました。

   酸っぱい葡萄とかって言い方は結構本当正しくて、選ばなかった選択肢はその良さみたいなものを最終的には想像をしても実感をするのは難しいんだなって思います。だから、きっと酸っぱかったんだろうって思ってしまうんじゃないかなと思います。と、今回はもう本当雑感みたいな投稿で、また来週。

2023年10月30日月曜日

部門間の分断をどのように防ぐのか

   企業が成長し、部門が専門化していく過程で、しばしば各部門は自身の責任範囲内のみに焦点を当てるようになります。これは一見、効率的で専門性の高い業務遂行に繋がるように思えますが、企業全体としては大きな課題を抱えることになります。その一つが、部門間の壁です。今回は、このような状況を打破するための効果的なアプローチ、クロスファンクショナルチームについて掘り下げていきます。

   多くの企業では、各部門が特定の役割と責任を持ちます。この明確な分担は業務の効率化をもたらしますが、一方で、自部門外の事項に対する関心が薄れ、組織全体の連携や協力が失われがちです。この「分断」は、企業の成長を妨げる要因となり得ます。この組織の形を維持する以上は避けられない問題ですが、それ以上にこの組織体系にはメリットが多いと考える企業が多いのでしょう。

   この問題に対処する有効な方法の一つが、クロスファンクショナルチームの形成です。異なる部門のメンバーが一つのチームを形成し、特定のプロジェクトや目標に取り組むことで、部門間の壁を打ち破ります。これにより、多様な視点とスキルを組み合わせ、企業全体としての目標達成を目指します。うまく機能するクロスファンクショナルチームには、以下のような特徴があります。

  • 明確な目標と役割:チーム全体と各メンバーの役割が明確に定義されています。
  • 効果的なコミュニケーション: 開かれたコミュニケーションが行われ、アイデアや情報が自由に交換されます。
  • 多様性の尊重: 異なるバックグラウンドやスキルを持つメンバーの意見が尊重されます。
  • 適応性と柔軟性: 新たな課題や変化に対応できる柔軟性を持ちます。 

シリーズで深掘り このブログでは今後、クロスファンクショナルチームにおけるこれらの特徴について、一つずつ詳しく掘り下げていきます。次回は「明確な目標と役割」に焦点を当て、成功するチーム構築の秘訣を探ります。部門間の壁を乗り越え、組織全体のシナジーを生み出すための今まで考えた事を共有できればなと思います。

2023年10月23日月曜日

MBTIの課題と限界


   さて、最近MBTIと似たようなツールがインターネット上に散見されたり、そもそも学術的ではないMBTIについて批判を目にする機会があったのでそういったことを諸々考えてみてもまぁツールとしては悪くないんじゃない?っていう自分の意見について書いてみようと思います。
   MBTIは、個々の性格を理解し、職場のコミュニケーションや個人のキャリア開発を促進するための人気のツールです。しかし、この理論には学術的な正確さに関する幾つかの批判があります。これらの問題点を認識することは、MBTIをより効果的に活用するための第一歩と言えるでしょう。

1. 信頼性の欠如: MBTIは、同じテストを異なる時間帯に受けると異なる結果が出ることがあります。これは、状況や気分の変化によって回答が変わる可能性があることを示唆しています。

2. 二分的なカテゴリ:MBTIは性格を16のタイプに分けますが、これは人の性格が固定された箱に入れることができるという考え方に基づいています。しかし、多くの心理学者は、性格は流動的であり、多くの場合、スペクトラムに沿って分布すると考えています。

3. エビデンスな欠如:MBTIが提案するタイプや役割は、広範な経験主義的研究に基づいているわけではありません。そのため、その予測の正確性や科学的根拠は限定的です。またいわゆるビッグファイブと呼ばれるツールを使うとエビデンスに基づいていてちゃんとやれば意味があったりするのですが、神経症の項目があったりして実際の現場で実行することは結構難しい面があります。

   それでも、MBTIは自己認識を深め、他者の視点を理解するための出発点として有用です。このツールを使用する際は、個々の結果を絶対的なものではなく、個人の多様性を理解し、尊重するための一つのフレームワークとして捉え、開かれた心でアプローチすることが重要です。
   また、インターネット上では、多くの簡易MBTIテストが提供されており、短時間で「あなたのタイプ」を教えてくれると約束しています。しかしながら、これらの簡易テストはMBTIの本来の価値、つまり個人の内省と他者理解の促進を十分に反映しているわけではありません。
   本格的なMBTIアセスメントは、専門家によるガイダンスとフィードバックが含まれています。参加者は、各性格要素について詳細な説明を受け、自分自身の傾向を反映してタイプを「選択」します。このプロセスは、自己選択という重要な段階を経ることで、自己認識を深め、自分とは異なる他者の視点や思考パターンを理解する手助けとなります。
   この自己選択プロセスは、簡便なオンラインテストでは体験できないものです。それは、個人が自分の性格についてより深く考察し、それがどのように日常生活や職場環境に影響を与えるかを理解するプロセスを提供します。また、他者との違いを認識し、それに対する理解を深めることで、人間関係の質を高め、コミュニケーションを改善する助けとなります。
   結論として、MBTIは問題を抱えつつも自分や他者との違いを理解するきっかけ、自己理解を深め、他者の視点を尊重し、多様性を認める文化を構築するための簡便なツールとしての意味を持ちます。このプロセスを通じて、私たちは単に「誰かがどのように考えるか」を超えて、「なぜそう考えるのか」という深い理解に到達することができると思っています。

2023年10月16日月曜日

MBTIを職場でのコミュニケーションにどう役立てるのか その7

   MBTI理論の“J”(Judging)と“P”(Perceiving)の軸は、私たちのタスクへの取り組み方や作業スタイルに深く影響を及ぼします。Jタイプは計画と整理を好み、Pタイプは柔軟性と即興性に長けています。これらの違いを理解し、適切に活用することで、チームの生産性と満足度を高めることが可能です。

プロジェクト管理における具体的な例を見てみましょう。Jタイプのプロジェクトマネージャーは、期限や目標を明確に設定し、計画通りに進行することに重点を置くでしょう。これに対して、Pタイプのマネージャーは新しい情報やアイデアに対して開かれており、計画の変更や新たな提案を容易に受け入れます。

これらのアプローチは相反するように見えますが、実際には互いに補完し合い、プロジェクトの成功に寄与します。Jタイプが計画と組織性を提供する一方で、Pタイプは予期せぬ変更や新たなチャンスに柔軟に対応する能力を持ち合わせています。

最大のシナジーを引き出すためには、異なるタイプのメンバーからの入力を尊重し、取り入れることが重要です。例えば、戦略会議でJタイプには計画の枠組みを提示してもらい、Pタイプにはその枠組みの中での新たなアイデアや見解を求めることで、バランスのとれた戦略を構築できます。

自分自身がとてもJな性格であるため異なるタイプの人に対するフラストレーションは理解できるのですが、JタイプとPタイプがお互いの強みとスタイルを理解し、尊重する環境を作ることもまた重要です。これを実現する一つの方法は、チームビルディングの活動やワークショップを通じて、メンバー間の理解を深め、互いの働き方を尊重する文化を築くことです。

2023年10月9日月曜日

MBTIを職場でのコミュニケーションにどう役立てるのか その6

   思考を左右するMBTIの"T"(Thinking)と"F"(Feeling)は、組織内の意思決定やコミュニケーションスタイルに影響を与えます。"Thinking"タイプは論理と公平を基軸に行動するのに対し、"Feeling"タイプは調和と人間関係を重視します。両者は対立する傾向があるため、うまく設計をして補完し合うことで組織を強化できる可能性があります。例えば、新製品の開発プロジェクトにおいて、Tタイプのリーダーはデータや事実に基づいて最適な選択をする可能性が高く、一方、Fタイプのリーダーはチームメンバーの意見や感情を重視し、全員が納得し協力する選択をする可能性があります。

   全体的な傾向としての向き不向きを説明しておくと、Tタイプのアプローチは、コスト削減や効率の追求に優れ、リスクを避けながら目標に向かって直進します。対照的にFタイプのアプローチは、チーム内の調和とモチベーションの向上に貢献し、クリエイティブなアイデアや協働を促進します。

   これらをうまく組み合わせることで、チームはともに目標に向かいつつ、メンバーの満足度も保てる組織文化を築くことができます。具体的には、意思決定のプロセスにおいて、Tタイプが理論やデータに基づく選択肢を提供し、Fタイプがそれをメンバーの感情や価値観と照らし合わせ、バランスの取れた判断を下すことが理想的です。

   また、メンバー間でMBTIの理解を深めるワークショップを定期的に実施し、お互いの違いを尊重し学び合う文化を確立しましょう。これにより、コミュニケーションの壁を低減し、スムーズなプロジェクト推進が可能となります。