2023年10月23日月曜日

MBTIの課題と限界


   さて、最近MBTIと似たようなツールがインターネット上に散見されたり、そもそも学術的ではないMBTIについて批判を目にする機会があったのでそういったことを諸々考えてみてもまぁツールとしては悪くないんじゃない?っていう自分の意見について書いてみようと思います。
   MBTIは、個々の性格を理解し、職場のコミュニケーションや個人のキャリア開発を促進するための人気のツールです。しかし、この理論には学術的な正確さに関する幾つかの批判があります。これらの問題点を認識することは、MBTIをより効果的に活用するための第一歩と言えるでしょう。

1. 信頼性の欠如: MBTIは、同じテストを異なる時間帯に受けると異なる結果が出ることがあります。これは、状況や気分の変化によって回答が変わる可能性があることを示唆しています。

2. 二分的なカテゴリ:MBTIは性格を16のタイプに分けますが、これは人の性格が固定された箱に入れることができるという考え方に基づいています。しかし、多くの心理学者は、性格は流動的であり、多くの場合、スペクトラムに沿って分布すると考えています。

3. エビデンスな欠如:MBTIが提案するタイプや役割は、広範な経験主義的研究に基づいているわけではありません。そのため、その予測の正確性や科学的根拠は限定的です。またいわゆるビッグファイブと呼ばれるツールを使うとエビデンスに基づいていてちゃんとやれば意味があったりするのですが、神経症の項目があったりして実際の現場で実行することは結構難しい面があります。

   それでも、MBTIは自己認識を深め、他者の視点を理解するための出発点として有用です。このツールを使用する際は、個々の結果を絶対的なものではなく、個人の多様性を理解し、尊重するための一つのフレームワークとして捉え、開かれた心でアプローチすることが重要です。
   また、インターネット上では、多くの簡易MBTIテストが提供されており、短時間で「あなたのタイプ」を教えてくれると約束しています。しかしながら、これらの簡易テストはMBTIの本来の価値、つまり個人の内省と他者理解の促進を十分に反映しているわけではありません。
   本格的なMBTIアセスメントは、専門家によるガイダンスとフィードバックが含まれています。参加者は、各性格要素について詳細な説明を受け、自分自身の傾向を反映してタイプを「選択」します。このプロセスは、自己選択という重要な段階を経ることで、自己認識を深め、自分とは異なる他者の視点や思考パターンを理解する手助けとなります。
   この自己選択プロセスは、簡便なオンラインテストでは体験できないものです。それは、個人が自分の性格についてより深く考察し、それがどのように日常生活や職場環境に影響を与えるかを理解するプロセスを提供します。また、他者との違いを認識し、それに対する理解を深めることで、人間関係の質を高め、コミュニケーションを改善する助けとなります。
   結論として、MBTIは問題を抱えつつも自分や他者との違いを理解するきっかけ、自己理解を深め、他者の視点を尊重し、多様性を認める文化を構築するための簡便なツールとしての意味を持ちます。このプロセスを通じて、私たちは単に「誰かがどのように考えるか」を超えて、「なぜそう考えるのか」という深い理解に到達することができると思っています。

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