2022年4月2日土曜日

番外編<大学院留学の奨学金を3倍にした方法



先日友人夫婦が大学院の留学する事になり、奨学金が10k USDしか出てなかったところを少しアドバイスをした結果三倍近くまで増える事になったらしく、どう言ったことに気をつけて交渉をした方が良いと伝えたのかについて書いてみようと思います。普段のキャリアの話と違ってその一歩手前の大学院の留学の時の話になります。

はじめに: 心構え

最初に大切な事なのですが、全ての事は交渉可能であると理解して、それを堂々と主張することに何の問題もないと思うようにしましょう。特に今回のような奨学金の交渉の場合、あまりにひどい態度や非常識なリクエスト(全額無料にして欲しい)などでなければ、特に失敗してもリスクは限定的です。なのでダメもとでも言ったもの勝ちだと思ってください。

タイミング

次にタイミングについてですが、入学が確定する前に応募する形の奨学金でない場合はオファーが正式に出てからが良いと思います。逆にそのタイミングでないとあまり意味はないです。また大きな理由としては、オファーをもらったタイミングからは受験者が意思決定権利を持ち強くなるからです。

事前準備: 情報収集

さて交渉に入る前に、いくつか事前準備をするようにしましょう。過去の学生の実績から情報を集めて、以下の論点を理解することが大切だと思います。

  • どういう要素が交渉可能なのか
  • 交渉可能なレンジはどれくらいか
  • どういった理由や人が受け入れやすいのか
  • 意思決定者は誰でKPIは何か
  • 自分から何を提供できるのか
どういう要素というのは奨学金と言いつつ、現金をもらう事、学費を免除してもらう、他にも寮を割引してもらうなどなど実は様々な要素があります。そういったどのような要素が交渉の土台に乗るのか調べましょう。金銭的なメリットではなくて例えば授業を取るためのポイントや留学の枠など優遇措置があり得るかもしれないですよね。また過去の事例から問題のない範囲はどれくらいでどう言った人が奨学金を受け取っているのか考えると良いと思います。多くの場合より平均賃金の低い発展途上国出身の人に出やすいとは思うのですが、同じようなストーリーを作って説明したら日本で働いていた人でも通る可能性はあります。最後に誰がどう意思決定するのか、また彼らのKPIは何かを考えることが大切です。アドミッションオフィスの人だったらオファーを出した人の入学する割合等になってたりする可能性も高いのではないでしょうか。そうしたら、奨学金をもらえたら必ず入学しますと伝えている人の方が奨学金をもらえる可能性は高いと思います。最後に例えば学校に対してアンバサダーとして日本でのブランド向上に取り組みたい事などを伝えると良いと思います。

事前準備: 自分のゴールを決める
要素毎に理想的な最低限受け入れられる範囲と各要素毎の優先順位を決めます。こちら意外と自分を理解していない人が多いのですが、何を欲しいのか明確にしておく事が大切です。交渉中に迷っている時間はないです。

事前準備: 欲しい奨学金のロジック強化と感情面へのアプローチの準備
自分のゴールが決まったのであれば、なぜその金額が欲しいのか正当に聞こえるようなロジックを作ってみるようにしましょう。例えば
  • 他の学校でもオファーをもらっていて、そこの奨学金はより高い
  • 他の学校でもオファーをもらっていて、物価差により出費が多い
  • 自分で準備したお金があったものの最近の円安によって10%目減りしてしまった
などなど自己中心的でない仕方ないような理由を作って自分の欲しい奨学金のロジックを積み上げましょう。という事はより入学が簡単で奨学金をよりくれそうな学校も受けておいて事前に交渉しておくのも悪くない戦略だと思います。
また意志決定者もロジックだけで決めるわけではないので、感情面に訴えるような内容を伝えておくと良いと思います。具体的には相手に好かれて、学校に貢献してくれそうな人だと思わせることが大切です。以上を踏まえて伝えたいメッセージをきれいに整理して根拠も用意しておきましょう。例えば、友人の場合だと
  • あなたの学校が第一志望で、大好きです
  • でも、他の学校から奨学金ももらって迷っています
  • 私にはこんな困難があります
  • 奨学金を増額してくれたら即決してその日のうちにサインします
とシンプルにメッセージを絞っていたようでした。また、個人的には欲しい金額のちょっと上をリクエストすると良いと思います。30k USD欲しいなら35k USDくらいでリクエストした方が良いです。

交渉中に気をつけること
次に実際の交渉を始めるときに気を付けることを書いておきます。
  1. 可能ならZoom等、最低限でも電話で話すようにする
  2. メールは話した後の議事録としてまとめてフォローアップする程度で使う
  3. 交渉したい内容別での意志決定者の困難さを理解する
1、2は良いと思うので割愛すると、3についてちょっと詳しく説明します。各要素毎に意志決定者が一存で決められるかどうか、どの程度枠が狭いのか等難しさが変わってくると思います。それを対話の中の表情やリアクションから読んでいき自分の最終的なリクエストを決めていくというような意識を持つと良いと思います。例えば、奨学金の全額は多くの場合決まっていると思うので、他の学生とのゼロサムですが、もしかしたら寮の原資は違うポケットなのでより受け入れやすいみたいなこともあるかもしれません。

円安になってきている世の中だし、読んだ方の一人でもより良い交渉ができるように願っています。

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