たまに「日本にある外資系企業は支社だったり販社的な扱いなので意思決定権がなく、世界本社が多くを決めてしまい、その点日系企業は日本人である事を優位に使って本社で意思決定に近い仕事ができる」という事を聞いたりする事があります。これについて、日本企業の本社で働くという経験はないものの、外資系の支社やAPAC本社で働いた経験は多いために少し整理して何回かに分けて書いてみようかと思っています。こういった事を言っている人の多くは外資系企業で意思決定のできるような立場を経験してなかったり、あまり深く考えずに発言している事が多いように感じ、少し分解して考えてみます。また、前提としてここで書く外資系とは米系の上場している企業を指す事とします。多少乱暴な一般化もあるかもしれませんし、日系企業に関して理解が浅いため、色々と指摘してもらえると嬉しいのと、どちらが優れているという議論ではなくて、意思決定の差にすいてもう少し細かく理解するための議論だと思ってもらえれば助かります。
いくつかの視点があるのですが、現時点での仮説をいくつか書いてみると
- 文化面の差
- 米系企業では個人の意思決定の幅が大きく、日系企業では個人の意思決定の幅が小さそう
- 文化の差によって、意思決定のスピードに大きな差があり、米系企業ではボスと合意すればサクサク決めて進む事が多いのでむしろスピードの面では有利な可能性がありそう
- 機能による差
- 米系はバリューチェーンの上流については本社が決め、逆にP&Lの目標を達成していれば、製造、研究開発以外は現地で意思決定できる事もあり、バリューチェーンで分解する事でむしろ米系の方が意思決定権が強いという面もありそう
- 個人の意思決定できるタイミングの差
- 年功序列が強い日系企業の場合、意思決定のできる立場になるタイミングが遅い可能性がありそう
という事で今回は文化面の差について書きます。いくつか論文を読んでみたのですが、日本の企業における意思決定は稟議と呼ばれる仕組みを基準にしている事が多く、稟議においては関係者全員から承認を得る必要がある事が一般的なようです(出典:“Ringi System” The Decision Making Process in Japanese Management Systems: An Overview International Journal of Management and Humanities (IJMH) ISSN: 2394-0913, Volume-1 Issue-7, April 2015 )また、稟議のまえに事前に話を通しておく事が多いようです。比較すると米系企業においては、権限移譲の幅が決まっておりその範囲内であれば責任者個人が意思決定可能で、取締役会での合意を取り付けるのは相当に大きな意思決定である事が多いです。ここで「大きな」と言ったあいまいな言葉を使っているのは、自分の調査不足です。結果責任者が納得すれば良いので、稟議書といったような正式な文章が必要でない場合も多く、スピードも早くなることが多いです。こういった背景として、米系企業においては責任の所在を明確にする事で失敗した場合にも本人に辞めてもらう等の意思決定ができるからだと思います。
ってなわけで今回は日系企業と米系企業の文化の差について書いてみました。
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