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(スタンフォード大のキャンパスを一望できる丘の上から)
はじめに
先日、Stanford Medicineが提供するヘルスケアITの修士のプログラムに合格しました。医療とビジネス、テクノロジーが融合した1年間の社会人向け修士課程で、忙しい働き盛りの方々が集まる充実した学習環境だと聞いています。ここでは、私が出願を決めた経緯や準備の進め方、家族との関わり合いを中心に振り返ってみたいと思います。
出願を決めたきっかけ
きっかけは「知的労働者としての仕入れ」としての学習を毎年欠かさず行う習慣があったからです。新しい知識や視点を取り入れることで、日々の仕事や生活の質を高められる—そんな思いから、少しまとまった時間をつくっては学びの機会を探すようにしていました。
医療とテクノロジーが融合する世界は今後ますます発展しそうですし、ちょうどベイエリアに住んでいることもあって、スタンフォード大学の先端的な取り組みを直接吸収できるプログラムは自分にとって最適だと感じました。そこで5月頃から具体的に情報収集を始め、11月の締切に向けて動き出したのです。スタンフォード大学以外は受けず、もし落ちる事があったらもう一年後に受ければ良いかなと思っていました。
忙しい日々における効率的な準備
早朝トレーニング中に:問いを立て、運動しながら答えを探す
基本的に毎日は子どもが起きる前の早朝の運動から始まります。11月の締め切りに並行して10月末にあるアイアンマンの大会のゴールに向けてトレーニングをしていました。時間が限られている事もあり、出願の準備期間中は思考の時間としても活用するようになりました。運動前に「CIMプログラムでの学びをどう活かすか」「エッセイの構成をどうまとめるか」など一つの問いをあらかじめ設定しておき、走ったり、自転車に乗ったりしながら頭の中でじっくり考えます。アイデアが浮かんだタイミングで一度立ち止まり、スマホに音声メモを録音。その後、また運動に戻る—というサイクルを繰り返すことで、体を動かしつつ頭の回転も高めることができました。また、10月末のアイアンマンも13時間台と早くはないですが、足の爪が取れるくらいで大きなけがもなく無事完走できて良い思い出になりました。
週末の隙間時間:カフェや屋外でので短時間集中
子どもの週末の習い事に送った後など場所を選ばず、20~30分程度の短時間集中を行うのも効果的でした。エッセイの一部分を書き進めたり、提出書類のチェックをしたりと、大きなタスクを小さく分割して取り組むと意外と進捗が得られます。騒がしすぎないカフェは程よい雑音が集中を促す環境でもあり、数十分でも集中できればその日の目標を達成できることが多かったです。
夜:子どもが寝た後のエッセイカウンセラーとの打ち合わせ
一日の締めくくりには、子どもを寝かしつけてからの時間を活用しました。出願エッセイは内容の推敲が重要だったので、MBA時代にお世話になったエッセイカウンセラーにオンラインで相談しながら推敲を重ねました。昼間に書いたドラフトを共有し、専門的な視点で論旨の流れや言い回しをチェックしてもらうことで、最小限の時間でも効率良くクオリティを引き上げられたと感じています。
家事・育児の負担分担と信頼貯金
家事や育児は妻と共に分担し、仕事と並行して無理のないペースで準備を進めるよう心掛けました。出願中だからといって丸投げするくらいなら修士への受験はやめれば良いし、実際にプログラムが始まってからは回らないだろうと思ったからです。
そこで、普段どおり朝の支度や子どもの送り迎え、家事全般をできるだけこなしつつ、隙間時間を見つけて作業するというスタイルを徹底しました。妻も「無理しすぎないでね」と声をかけてくれましたが、なるべく受験準備のための負担を増やさないように意識した形です。また、無事に合格した今は、授業が始まってからも妻の負担が増えすぎないよう、合格までに貯める予定の信頼貯金を活用したり、外部のシッターさんにお願いしたりしようとしています。私がさらに家事や育児を積極的にこなす期間を作って、これから始まる新生活でも家族みんなが納得できるよう調整するつもりです。あくまで家族全員の幸福を最大化する事を基準にしたいと思っています。
書類提出後の流れ:ビデオ録画インタビューと面接
締切の11月中旬に出願を完了し、ほっと一息ついたのも束の間、数日後にはビデオ録画インタビューの案内が届きました。録画に際しては撮り直しも得に必要なく、翌日には一気に撮影を済ませて提出。そこからさらに二週間後にはオンライン面接がありました。志望動機や仕事上の経験、将来のビジョンなどを問われる時間で、手応えを感じつつも、合否がどうなるかは読めない不安も人なので少し残ります。面接後は再び静かな待機期間に入り1月末まで何も連絡がない状態が続きました。元々1月二週目までに連絡しますと面接中は言われたもののウェブサイトを見たらしれっと一月中に連絡すると変わっていて、待つ期間が増えました。
不安はほとんどなし:まず基準を理解する
出願時、私は大きな不安を感じることはありませんでした。もちろん合否に対する緊張感はありましたが、「どのような人材を求めているか」を把握したうえで、自分の強みをどうアピールするかを考えればいいだけだと割り切ったからです。足りない部分を過剰に取り繕うよりも、これまで培ってきた知識や経験をいかに合理的に伝えるかに注力したほうが効率的だと感じました。
実際、必要書類をリスト化し、エッセイも要件に沿って焦点を絞り込むことで、準備時間そのものは合計20時間に満たないほどでした。隙間時間をうまく活用して短期集中すれば、フルタイムで仕事や家事・育児をしながらでも十分に対応できると実感しています。
合格通知を待つ日々と、その瞬間
それから約2か月ほど過ぎても何の音沙汰もなく、年が明けてからも「まだかな、まだかな」とそわそわする期間が続きました。私自身はRedditの匿名掲示板で他の受験生たちと情報交換しつつ、互いの気持ちをなだめ合い、会社の同僚にはまだ伝える段階ではないと判断して、妻に「何も連絡が来ないよね…」と愚痴をこぼす日々でした。
そして1月31日の夕方、ギリギリのタイミングで「Application Statusに変化がありました」とのメールが届き、急いでログインしてみると“Congratulations”の文字が目に飛び込んできたのです。画面にはクラッカーのようなアニメーションが表示され、思わず両手を挙げて「やった!」と小さく叫んでしまいました。その足で別の部屋に行き、在宅勤務中の妻に「受かったよ!」と報告しました。
その直後、あらかじめ準備してああった「お世話になった人たち」へ順番に合格の報告とお礼のメッセージを送りました。カウンセラーや卒業生、友人など多くの方が協力してくださったので、そのお礼を伝えるのは合格後に最初にやりたかったことの一つです。
プロセスから学んだこと
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過去の経験と蓄積を最大限活かす
自分に不足しているものを無理に飾り立てるのではなく、これまで積み重ねてきた実績や知識をどれだけ効果的に伝えられるかに注力するほうが合理的だと感じました。
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今までの信頼を使ったや新しい人との出会をを通じた営業的アプローチ
在校生や卒業生、さらにはプログラム関係者に積極的にコンタクトを取り、こちらの真剣さや魅力を伝えることも大切です。書類だけでは伝わりにくい人間性や意欲を、会話を通じてアピールするのは有効でした。
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AI(特に音声対話)を使った思考の深掘り
自分の考えを客観的に見直すには、AIとの音声対話形式のやりとりも有用です。疑問点を投げかけてみることで、新たな視点を得たり、自分の主張に補足できるアイデアを得たりしました。
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隙間時間の徹底活用
仕事・育児と両立するには、一度に長時間確保する事は実質不可能です。早朝・昼休み・子どもが寝たあとの夜など、細切れでも集中すればエッセイや書類準備は十分に対応可能でした。また頭のどこかに論点を持って思考を温めておくといった事も有効だったと思います。